2018 Fiscal Year Research-status Report
腫瘍会合性マクロファージによる口腔扁平上皮癌の増殖・浸潤・転移機構の解明
Project/Area Number |
18K17218
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
久保田 恵吾 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (50800835)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | TAM / 腫瘍会合性マクロファージ / 口腔扁平上皮癌 / 免疫 / 分子標的薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
腫瘍会合性マクロファージ (TAM) は、 これまで CD163(ヘモグロビンスカベンジャーレセプター) や CD204(スカベンジャーレセプター) を発現するとされ、さらに発現するマーカーの違いにより癌微小環境での役割が違うことが明らかになってきている。本研究は各分子を発現する TAM に関して、より癌細胞への増殖や転移能の獲得を促進・惹起する機能を持つ分子(マーカー)を検討し、将来的には TAM を特異的に除去するような分子標的薬への応用を目指す。 これまでの予備実験の結果を踏まえて、現在は細胞膜受容体である CD206 に着目し研究を遂行している。これまで検討してきた、CD163 や CD204 などの TAM 発現分子と CD206 を発現関して、FCM(フローサイトメトリー法)により検討した結果、 CD206 発現したマクロファージは、癌進展に関与するとされる EGF(上皮成長因子) の発現が多い傾向にあった。さらに、口腔扁平上皮癌組織での CD206 発現部位を免疫組織化学染色法にて検討しており、CD206+TAM は癌細胞の proliferation への関与が疑われたため、CD206+TAM など各サブセットの TAM と口腔扁平上皮癌細胞との共培養系を構築し、癌細胞の転移能の変化の違いを探っている。 一方、TAM は主な発現分子の違いにより、癌組織内部および癌浸潤先端部位での発現に差があることも近年の研究で示唆されており、蛍光免疫染色によって各分子が癌微小環境のどこに発現しているのか、検討を行なっている。癌微小環境における各 TAM の機能的な役割を発現部位の傾向からも分析を行なっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
癌微小環境における 3color 染色でのTAMサブセットの解析にて CD163, CD204, CD206 の発現部位が異なる傾向を認めており、今回着目したCD206+TAM は、主に腫瘍内部に多く発現している傾向にあり、また、EGF+細胞においても CD206+TAMが多くマージしていることが確認できたた。一方、癌細胞との共培養系は、各分子を発現する TAM の必要な細胞数を集めることにやや難渋している。現在、繰り返し TAM の培養とマグネットソーティング作業を行なっている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、癌微小環境での CD206+TAM に関して細胞培養系を用いて、転移能が高い癌細胞と転移能が低い癌細胞との共培養系を用いて癌細胞の増殖能に CD206+TAM の関与があるのか検討していきたい。さらに、増殖能に関して EGFに着目しており、抗EGF抗体を用いてより詳細な機能解析を行なっていくこととしている。一方、これまで報告してきた免疫抑制系の TAM に関しては近年、PD-L2 の発現細胞にも注目されており、現在ヒト口腔扁平上皮癌組織のパラフィン切片を用いて、免疫組織化学染色にて予備実験を行なっている。条件設定などは終わり今後は症例数を増やし、臨床所見(リンパ節転移有無、遠隔転移有無、再発有無など)と相関関係を検討していくこととしている。
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Causes of Carryover |
これまで使用していた機材が使用でき新しく物品購入することが少なかったことがあげられる。一方、癌細胞浸潤検索実験など(インベージョンアッセイ)などの新しい実験器具にも今後使用する予定があり、今後支出の増加が考えられる。
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Research Products
(1 results)
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[Presentation] CD206+tumor-associated macrophages promote cancer cell proliferation.2018
Author(s)
ASM Rafiul Haque, 森山雅文, 久保田恵吾, 石黒乃理子, 坂本瑞樹, 鎮守晃, 望月敬太, 坂本泰基, 金子直樹, 宗村龍祐, 田中明彦, 前原隆, 林田淳之將, 川野真太郎, 中村誠司
Organizer
第72回日本口腔科学会学術集会