2018 Fiscal Year Research-status Report
知覚神経におけるHMGB1シグナルを標的とした新規口腔癌骨破壊病変治療の開拓
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18K17225
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
奥井 達雄 岡山大学, 大学病院, 助教 (40610928)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 知覚神経 / 癌骨破壊 / 骨痛 |
Outline of Annual Research Achievements |
口腔癌組織アレイを用いた口腔組織と口腔癌を含む頭頸部悪性腫瘍組織におけるHMGB1発現の検討により, HMGB1は癌細胞での発現が増加していた。HMGB1は核内タンパクであり核内におけるHMGB1発現は癌組織と正常組織に大きな差はなかったが、細胞質では癌組織における発現が著明に増加していた。これは癌細胞ではHMGB1が核から細胞質そして細胞外へ流出していると考えられた。 種々の口腔癌細胞株(HSC-2, HSC-3, SAS)ならびに乳癌細胞株(MDA-MB-231, 4T1)におけるHMGB1発現を検討した。HMGB1はHSC-2, HSC-3, SAS全ての口腔癌細胞で高発現していた. 細胞内だけでなく細胞培養上清においてもHMGB1の存在が確認され癌細胞は能動的にHMGB1を細胞外に産生していることが明らかになった. HMGB1高発現口腔癌HSC-2細胞培養上清を知覚神経細胞である脊髄後根神経節細胞、DRG細胞に添加し神経細胞培養液中で14日間培養すると知覚神経軸索伸長が促進された。さらにHSC-2細胞培養上清から細胞外小胞であるエクソソームを分離し知覚神経に添加すると細胞培養上清と同様に知覚神経軸索伸長が誘導されることが明らかになった。 このエクソソームによる軸索伸長はHMGB1中和抗体を添加することにより阻害された。これは癌細胞が産生するエクソソーム内にHMGB1が封入されており知覚神経軸索慎重が促進することが示唆された。 さらにHSC-2, HSC-3, SAS細胞の培養上清は知覚神経の酸感受性受容体発現を増強させ癌細胞が乳酸によって構築する酸性環境による骨痛を増強することが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
HMGB1口腔組織アレイ検索にてHMGB1免疫染色を行った。HMGB1抗体の抗体選択のため数種類の抗体で前実験を行ったため、当初より実験計画が遅れた。 in vitroにおける計画は概ね当初の計画通り行えた。興味深い事に細胞外小胞であるエクソソームとHMGB1の関係を示唆する結果を得ることができた。 また新たにHMGB1は知覚神経の酸感受性受容体発現を増強させることが明らかになっている。
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Strategy for Future Research Activity |
in vitroにおける検討にて細胞外小胞であるエクソソームとHMGB1の関係を示唆する結果を得た。当初の予定どおりIn vivoの検討を開始することとし、同時に癌細胞が産生するエクソソームを破砕し質量分析を行うことによってHMGB1をどの程度産生しているかを検討することとしている。
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