2020 Fiscal Year Research-status Report
骨細胞のメカニカルストレス応答におけるBMPシグナルの役割解明研究
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18K17227
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
長野 公喜 九州大学, 大学病院, 医員 (60737089)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 骨リモデリング / BMPシグナル |
Outline of Annual Research Achievements |
骨リモデリングは、成長因子シグナルやメカニカルストレスなど、様々な因子によって制御されているが、その詳細なメカニズムについては未だ明らかになっていない。骨細胞はメカニカルストレスを受容し、骨リモデリングを制御する司令塔としての役割を果たしている。本研究では BMP 受容体欠損マウスに運動負荷を与え、骨細胞の形態や成熟度などを多面的に解析することで、メカニカルストレス応答における BMP シグナルの役割の一端を明らかにすることを目指す。本研究の成果は骨リモデリング制御機構全体の解明に向けて有用な知見となる。H30から31年度は、骨芽細胞特異的 Bmpr1a ノックアウトマウス (Osx-CRE/Bmpr1a-flox) を用いて、運動群、非運動群に分け、骨細胞の状態を対照マウスと比較し多面的に解析するためのサンプリングを行った。骨細胞は骨芽細胞から分化し、骨基質に取り囲まれる過程で細胞突起を伸ばし、周囲の細胞と連結し、次第に成熟した骨細胞へと変化していく。それに伴い、骨細胞の形態は類円形から紡錘形へと変化する。その様子を捉えることで BMP シグナルとメカニカルストレスが骨細胞の成熟過程に及ぼす影響を調べる。走査型電子顕微鏡を用いて各群における骨細胞の形態や密度を解析し、BMP シグナルとメカニカルストレスが骨細胞の成熟過程に及ぼす影響を評価した。H31年度からR2年度は、骨細胞の成熟に伴い発現量が上昇する骨細胞特異的タンパク質 (FGF23、DMP1、SOST など) の各群における発現量を Real-time PCR 法を用いて解析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究期間中に、骨芽細胞特異的 Bmpr1a ノックアウトマウスを用いて、メカニカルストレス応答における BMP シグナルの役割を解明することを目標としている。H30~31年度にマウスを使用した実験は終了し、すでにサンプリングは完了している。しかし、各解析(走査型電子顕微鏡やReal-time PCR 法)と細胞レベルの実験を現在も継続し行なっているが、当初の計画に比べやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
対照マウスに比べ、Bmpr1a-cKO マウスでは骨芽細胞や骨芽細胞から分化しつつある未熟な骨細胞で、高い増殖活性が認められた。また、メカニカルストレスと骨芽細胞の増殖活性が関連している事実から、BMP シグナルとメカニカルストレスが細胞増殖の制御においてクロストークしている可能性が考えられた。そこで、各群における骨芽細胞および骨細胞の増殖活性を BrdU アッセイにより解析する。さらに、細胞増殖に関わる MAP キナーゼ経路などのシグナル活性をウエスタンブロット法を用いて解析する。
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Causes of Carryover |
当初の計画よりも細胞実験が遅れており、実験に使用する試薬や細胞培養液など消耗品等の購入が予定より少なかった。 実験を遂行するための各試薬や器具類等は今後も同程度必要になるため、この購入費に充てる。また得られた成果を学会および論文として発表するための旅費および出版費として使用する予定である。
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