2021 Fiscal Year Research-status Report
Liquid biopsyは口腔扁平上皮癌で有効か? [NOTCH1に注目して]
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18K17239
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
内堀 雅博 東海大学, 医学部, 助教 (50749273)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | Liquid biopsy / 口腔扁平上皮癌 / 遺伝子解析 / 再発転移 / NOTCH1 / 液体生検 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究は、口腔扁平上皮癌(OSCC)におけるNOTCH1リガンド結合領域の変異の発現細胞を用いて機能を解析し、NOTCH1の腫瘍原性を解明すること、また、OSCCにおける新しい診断方法としてのLiquid biopsyを確立させるための足掛かりとなるデータを得ることである。 昨年度は、主にLiquid biopsyの確立のための足掛かりとなる以下のデータを得た。 ①手術前、手術翌日に加え、さらに手術後1週間、1ヶ月、3ヶ月、以降3ヶ月ごとに cfDNAを回収し、その濃度の測定を行った。手術3ヶ月後に術前よりもcfDNA濃度が高かった患者は再発転移を認めた。cfDNA濃度の変化は再発や転移の予測ができる可能性が示唆された。現在最長で術後2年以上の観察期間を有する。今後も継続して解析していく予定である。②cfDNAが癌を反映しているかどうかを解析するため、患者の癌組織由来のDNAとcfDNAの遺伝子解析を行った。口腔癌に多く変異の見られるもの、一般的に癌のドライバー遺伝子とされているもの、計76の遺伝子に注目したターゲットシーケンスを癌組織に対し行った。変異を認めた遺伝子に対し、同患者のcfDNAにおいてもシーケンスを行った。その結果、癌組織で見られた変異をcfDNAにおいても、0.1~1.51%の範囲で抽出できた。また、cfDNAの特定の変異をデジタルPCRで検出できるかどうかも解析したが、使用可能なプローブの設計が難しく、使用するDNA量が多いため、現時点ではデジタルPCRはcfDNAの解析において不向きであることが分かった。現在、予後不良症例におけるcfDNAの濃度解析、シーケンスを中心に行っており、今後も引き続き継続する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
NOTCH1の分子学的な解析の大半は終了しており、本年度も昨年度に引き続き、cfDNAの解析を中心に行った。COVID-19の流行で、患者の受診が延期されたりなどで、サンプル採取が遅れたため。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度はcfDNAの解析を中心に行った。研究計画で、cfDNAに関してもNOTCH1のリガンド結合領域に注目するとしていた。現在解析した36症例の中でTP53が最も多く8つであったが、その他はすべて2つであり、NOTCH1もこれに相当していた。今後症例数を増やしていき、その傾向を見極める必要がある。しかし、見出した2つの変異のうち1つはリガンド結合領域の変異であり、引き続きNOTCH1に注目することに変わりはない。cfDNAにおいては、今後は、予後不良症例に着目してさらなる解析を行う。また、NOTCH1の分子学的な解析についても、現在保有している安定発現細胞を用いて継続していく予定である。
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Causes of Carryover |
COVID-19の流行で、予定では採取されているはずのサンプルの採取が患者の受診延期により出来ず、消耗品の使用額が少なかった。次年度のcfDNAの解析で引き続き使用する予定である。
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