2019 Fiscal Year Research-status Report
IGF1とHif1αの歯胚発生における機能の解明と再生歯形態制御への応用
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18K17241
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大柳 俊仁 東北大学, 大学病院, 医員 (90805326)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | IGF1 / Hif1α / Hif2α / 歯胚発生 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、歯の再生医療が社会から切望されている。代表者の所属するグループは、器官原基法を応用したマウスの再生歯の発生を報告したが、それらの再生歯は、天然の歯と比較して顕著にサイズ小さくまた咬頭パターンが異なる形態的問題を示した。代表者らはこれまでに、IGF1が再生歯のサイズ増大と咬頭数増加を誘導し、これらの問題の改善に寄与することを示したが、天然歯と比較した再生歯形態の不調和は、未だ十分には解決していない。一方、Hif1αは器官のサイズに影響し、また、IGF1シグナルと相互に作用することが知られているが、歯の発生における役割は不明である。本研究では、歯の発生におけるIGF1とHif1αの機能を明らかにするとともに、IGF1とHif1αの相互作用に着目して、IGF1を作用させた再生歯のサイズと咬頭形成亢進に対するHif1αの作用を解明するため、これまで、歯の発生過程におけるHif1αの発現の解析および、IGF1の機能の解析を行った。本年度は、歯の発生におけるIGF1の機能のさらなる解析のため、野生型マウス胎仔から下顎臼歯歯胚を摘出し、IGF1を添加して器官培養を行った後に上皮および間葉組織に分離し、それぞれの組織からRNAを抽出した。その後、リアルタイムPCRを用いて歯胚発生に重要な役割を持つ種々の遺伝子発現を解析した。加えて、Hif1αの阻害剤およびHif2αの阻害剤を添加して下顎臼歯歯胚を器官培養し、位相差顕微鏡にて形態計測を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
歯の発生におけるIGF1の機能のさらなる解析および、Hif1αおよびHif2αの機能の解析を行うことができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
IGF1が歯胚由来上皮および間葉細胞におけるHif1α転写活性に及ぼす影響を調べる。加えて、Hif1αが歯胚由来上皮および間葉細胞におけるIGF1シグナル活性に及ぼす影響を解析することで、IGF1とHif1αの相互作用を解明する。さらに、Hif1αと同様に低酸素シグナルの一つであるHif2αについて、歯の発生過程における発現と機能の解析を行う。
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Causes of Carryover |
本年度、IGF1が歯胚由来上皮および間葉細胞におけるHif1α転写活性に及ぼす影響を解析するため、マウス歯胚から採取した上皮および間葉細胞を用いてHif1αの発現、核内移行解析、並びにレポーターアッセイを行う予定としていた。しかしながら、歯胚細胞の培養条件の確立および解析方法に当初の予定より多くの時間を要している。そのため、次年度も継続的に培養実験を行う必要が生じた。
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