2019 Fiscal Year Annual Research Report
PDGFによる歯髄幹細胞の神経細胞分化誘導法の確立
Project/Area Number |
18K17243
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
菅原 優 東北大学, 歯学研究科, 助教 (00636954)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 歯髄幹細胞 / オリゴデンドロサイト / PDGF / BMP / 再生 / 歯 |
Outline of Annual Research Achievements |
マウス歯髄由来細胞株に対してヘキスト色素の取り込みを利用したフローサイトメトリー法にて、幹細胞マーカーを発現し多能性を有する歯髄幹細胞株(SP細胞)の作成に成功している。SP細胞をPDGF-BBで刺激することによりcontrolやPDGF-AAで刺激した場合と比較し、細胞数が増加することが分かった。分化においてもPDGF-AAでSP細胞を刺激すると象牙芽細胞の分化マーカーであるDSPPのmRNA発現を誘導し、PDGF-BBで刺激するとDSPPのmRNAの発現は減少し、BMP刺激によるSP細胞のDSPPのmRNA発現上昇をも抑制することが分かった。さらにPDGF-BBで刺激されたSP細胞は細長く突起を伸ばすことが観察された。元々歯髄幹細胞は頭部神経堤由来の細胞であること、PDGFα受容体がグリア細胞に出現しその分化に重要な役割を果たすことから、PDGF-BB刺激後に神経細胞の分化マーカーのmRNA発現をRT-PCR法を用いて解析したところオリゴデンドロサイトに特徴的なPlp-1やOlig2のmRNAの発現が誘導された。 ウェスタンブロット法、siRNA法を用いて、PDGF受容体下のシグナル伝達経路を解析したところ、PDGF-AAでp38のリン酸化が強く誘導される一方、PDGF-BBではERK1/2、p38、Aktが強くリン酸化されることが明らかとなった。また、PDGF-BBはBMP2によるsmad5のリン酸化促進を抑制し、PDGF-BB単独ではBMPレセプターであるALK3とBMPRⅡのmRNAの発現を抑制したが、PDGF-BBとBMP2の両方では抑制されなかった。 これより、PDGF-BBはBMP2によるsmadのリン酸化促進を抑制することによる象牙芽細胞分化の抑制因子であり、オリゴデンドロサイト分化に関与している可能性が示唆された。
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