2020 Fiscal Year Research-status Report
海馬Wnt signal pathwayの変調と鼻呼吸障害改善の生物学的意義
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18K17244
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
沖原 秀政 東京医科歯科大学, 歯学部附属病院, 特任助教 (80754960)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 鼻呼吸障害 / Wnt signal pathway |
Outline of Annual Research Achievements |
鼻呼吸障害を患う成長期の児童には、読解力・数学力の低下が、不十分な睡眠と呼吸機能障害を示す児童には学力の低下がそれぞれ認められるといった、呼吸機能障害と記憶・学習機能の関連性についての臨床報告が見受けられる。しかし、高次脳機能の旺盛な発育期である成長期における鼻呼吸障害が、記憶・学習機能を司る海馬の機能変性に与える影響とその分子メカニズムに関する報告は国内外問わず見当たらない。記憶・学習機能を司る海馬の成長発育には、脳由来神経栄養因子であるBrain-derived neurotrophic factor (BDNF)とその受容体であるTyrosine kinase B (TrkB) receptorが重要な役割を果たしている。当分野では鼻呼吸障害が両者の結合(BDNF/TrkB signaling)を低下させ、MAPKcascadeにおけるphospho-ERK1/2発現量および海馬神経細胞数の減少を誘発し、記憶・学習機能はが低下することを明らかとした。近年、記憶・学習機能低下を主症状とするアルツハイマー病において、BDNFの発現を制御している上流の分子伝達経路であるWnt signaling pathwayと関連があるとの報告がある。そこで、Wnt signaling pathwayの関連分子であるWnt3aおよびそのアンタゴニストであるDKK-1に着目して分子メカニズムを明らかにしたいと考えた。鼻閉モデルを用いて行動実験において記憶・学習機能の評価を行い低下が認められ、western blotting法を用いた生化学的解析によりWnt 3a,DKK-1の発現変化を明らかにでき、鼻呼吸障害が記憶・学習機能障害に与える分子学的メカニズムの解明に一歩前進した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験データを揃い、論文作成中。
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Strategy for Future Research Activity |
鼻呼吸障害が記憶学習機能に関連した分子伝達経路に与える影響を明らかにすることで、今後鼻呼吸障害を回復させたモデルにおいて経路のどの部分が回復する のかを明らかにする。
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Causes of Carryover |
追加実験時の試薬費用など
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