2022 Fiscal Year Research-status Report
Periostinが関与する咬合刺激低下歯の歯周組織回復メカニズムの解明と応用
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18K17247
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
臼見 莉沙 東京医科歯科大学, 東京医科歯科大学病院, 助教 (90706946)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 歯科矯正 / 咬合機能低下 / ペリオスチン / スプライシングバリアント |
Outline of Annual Research Achievements |
頭蓋顔面領域の軟骨形成と骨形成における各バリアントの役割について論文にまとめた。具体的には対照群にはC56BL6 / Nマウス、および各バリアントタイプのマウスを使用し、各バリアントの効果を形態学的および組織学的に測定した。Micro-CT撮影では、特に下顎骨においてΔEx17、ΔEx21、およびΔEx17&21の頭蓋顔面骨が対照群よりも小さな値を示したことから、下顎頭に焦点を当てた。最も特徴的な組織学的結果としては、各ノックアウト群が対照群よりも肥大した軟骨細胞を持っていたことであった。リアルタイムPCR は、各群間においてそれぞれ違う結果を示した。さらに、ペリオスチンのEx17 またはEx21の欠如は、不十分な軟骨細胞の分化につながり、小さな頭蓋顔面骨を形成する傾向があることも明らかとなった。これらの結果から、各バリアントが軟骨細胞肥大に重要な役割を果たし、軟骨形成、骨形成の抑制につながっている可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルス感染拡大による緊急事態宣言により、実験の遂行を中断していた期間があるため。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年に引き続き、咬合刺激低下歯に対する効率的な矯正学的移動システムの構築として、in vitroの実験としてラット上顎切歯に咬合板を、下顎切歯に金属冠をそれぞれ装着し上顎第一臼歯 (M1) の咬合刺激を排除(ラット臼歯咬合刺激低下モデル)し、矯正的歯の移動として10gfのTi-Niコイルスプリングを用いM1の近心移動を開始する。移動開始1、2、3および7日後に、M1の移動様相ならびに周囲骨の骨性状をマイクロCTを用いて評価する。また、非脱灰新鮮凍結切片を作製し、歯の移動時における歯根膜の変化を、VEGF、VEGFR-1、VEGFR-2やTwist1periostin、CtgfおよびRunx2等の各種の血管新生因子および血管標識因子、フリーラジカル、炎症性サイトカイン、細胞外マトリクスなどの免疫組織学的解析、リアルタイムPCRによるメッセージレベルでの発現の定量化やイムノブロッディング法によるタンパク質レベルでの発現量の分析を行う。その後、 1) 咬合刺激低下歯の実験的歯の移動時にLIPUSを照射する方法 2) 咬合刺激低下歯に軽度の虚血負荷を繰り返し与えたのち矯正力を用いて移動する方法 に関する比較解析を行い、咬合刺激低下歯に対する効率的な矯正学的移動システムを検討する。
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Causes of Carryover |
昨年度歯根膜細胞におけるVEGF-AによるVEGFR-2の発現誘導、ならびにTwist1によるperiostin発現誘導に関して、不死化歯根膜クローン細胞の作製を行うこととした。しかし安定した細胞株の樹立が困難であり、譲渡いただいたペリオスチンのExson-17部位、Exson-21部位およびExson-17&21部位の欠失したスプライシングバリアントのマウスの骨・歯を対象とした予備的解析によりにより、ペリオスチンの骨縫合や歯の萌出についてペリオスチン・スプライシングバリアント間の骨・歯の疾患における機能的差異を検討することとし、当初の研究計画遂行順序に変更があった。また新型コロナウィルス感染拡大による緊急事態宣言により、実験遂行の中断を余儀なくされた時期があったため。
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