2019 Fiscal Year Research-status Report
歯科矯正用アンカースクリュー植立時のマイクロダメージから生じる骨吸収機序の解明
Project/Area Number |
18K17248
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
上園 将慶 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (80737346)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 歯科矯正用アンカースクリュー / マイクロダメージ |
Outline of Annual Research Achievements |
歯科矯正用アンカースクリュー (アンカースクリュー) は、脱落率が高いことが臨床上の大きな問題となっており、生存率向上のために多くの研究が行われている。特に近年ではアンカースクリュー植立後のマイクロダメージが脱落の要因として注目されているが、マイクロダメージによってスクリュー周囲の皮質骨に顕著な骨吸収が生じるかどうか、生じるとすればそれはどのような機序によるのかは不明である。そこで本研究では、アンカースクリュー植立時に生じるマイクロダメージと、アンカースクリュー脱落の直接の原因であるスクリュー周囲の皮質骨吸収の関連について、動物実験モデルを確立し解明する。 2019年度は昨年度の研究成果を基に、ラット脛骨を用いた動物実験を行い、マイクロダメージが骨代謝状況に影響を及ぼしている可能性について検討を行った。脛骨に直径 1.3 mmまたは2.0 mmのチタン合金製のスクリューを植立し、植立直後、植立後7日、21日の3時点で評価を行った。評価は塩基性フクシンで染色した非脱灰研磨標本でマイクロダメージおよび骨内の管腔(骨を栄養している血管を内包した小腔)を定量評価した。 マイクロダメージ数に関しては、植立直後、植立7日後で2.0 mm群が大きい傾向を示したが、植立21日後では両群はほぼ同程度の値を示した。管腔の大きさに関しては、植立直後では両群はほぼ同程度の値を示したが、植立7日後および21日後で2.0 mm群が大きい傾向を示した。 2.0 mm群では1.3 mm群よりも多数のマイクロダメージが生じたことから、各群の直径の設定は、マイクロダメージ数に差を生じさせる実験系として適していると考えられた。また、マイクロダメージ数と管腔の拡大には正の相関関係があると考えられた。このことからマイクロダメージが増えるほど、スクリュー周囲骨の気孔率が増加しスクリューの安定性が低下する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初とは異なるラットを用いた系を確立するために想定外の時間を要したが、実験系の確立がほぼ完了したため、上記評価とした。
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Strategy for Future Research Activity |
塩基性フクシンを用いたマイクロダメージの定量は、先行研究を基に実験を行い再現性を確認することができた。しかし吸収窩については、もともと骨内にある生理的な管腔(骨を栄養している血管を内包した小腔)と区別するため、測定対象とする小腔の大きさや酵素化学染色等による追加の検討を行う。 また組織切片による一断面の観察だけでなく、体積における変化を検証するため、マイクロCT再構築画像を用いてBMD値やBV/TVなどの検討を追加で行う。
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Research Products
(11 results)