2020 Fiscal Year Research-status Report
歯科矯正用アンカースクリュー植立時のマイクロダメージから生じる骨吸収機序の解明
Project/Area Number |
18K17248
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
上園 将慶 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (80737346)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 歯科矯正用アンカースクリュー / 模擬皮質骨 / マイクロダメージ / ストレスホワイトニング |
Outline of Annual Research Achievements |
歯科矯正用アンカースクリュー (以下、アンカースクリュー) は、脱落率が高いことが臨床上の大きな問題となっており、生存率向上のために多くの研究が行われている。特に近年ではアンカースクリュー植立後のマイクロダメージが脱落の要因として注目されているが、マイクロダメージによって皮質骨に顕著な骨吸収が生じ、スクリューが脱落に至る機序は不明である。以上の背景から本研究では、機序解明に向けて動物実験モデルの確立に取り組んできた。しかし2020年度は新型感染症対策の観点から、特に上半期に動物実験を予定通り進めることが困難であったため、マイクロダメージの様相を模擬皮質骨にて検証した。 被植立体は皮質骨と同様の弾性率、被圧縮強度を有する厚さ1.0 mmのエポキシ-グラスファイバーコンポジット製の模擬皮質骨とした。植立試料は直径1.3 mm、長さ6.0 mmの歯科矯正用アンカースクリューとした。 まず、模擬皮質骨にマイクロダメージが生じた際、どのような変化が生じるかを球圧子で押込み試験を行い検証した。その結果、荷重が増加するに従い、ヘルツの接触理論に対応した内部領域で、ストレスホワイトニングの増加が観察された。ストレスホワイトニングを走査型電子顕微鏡で観察したところ、グラスファイバーの破砕および基質とフィラーの境界破壊が認められた。以上より、模擬皮質骨におけるマイクロダメージはストレスホワイトニングによって評価可能であることが示された。 次に、直径0.7-1.2 mmの下孔を作製した上で植立試験を行った。植立および抜去トルクで初期安定性を評価し、スクリュー抜去後の模擬皮質骨断面観察からストレスホワイトニングの面積を測定し、マイクロダメージを定量評価した。その結果、下孔の直径が1.0 mmの場合が、最も初期安定性が高く、マイクロダメージが少ない条件であることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型感染症の影響によって、予定していた動物実験を行うことができなかったものの、代替評価を模索する中で、新たな知見を得ることができた。上記の実験内容をまとめ、国際誌に投稿したところ、minor rivisionとなり、思わぬ成果が得られたため上記評価とした。
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Strategy for Future Research Activity |
前述の模擬皮質骨を用いた実験結果と同様の傾向が、生体でも認められるか検証する。 また、2020年度に実施予定の動物実験についても順次再開する。
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Causes of Carryover |
新型感染症の影響によって予定していた動物実験を行うことができなかったため、相当する予算を次年度使用額とした。 当該予算は、2020年度に実施予定の動物実験に加え、模擬皮質骨を用いた実験の延長に当たる生体での検証に使用する。
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Research Products
(5 results)