2020 Fiscal Year Research-status Report
アナトミカルバランスモデルを応用した顎変形症治療システムの構築
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18K17249
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
疋田 理奈 東京医科歯科大学, 歯学部附属病院, 非常勤講師 (90706904)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 顎変形症 / 外科的矯正治療 / 呼吸機能 / アナトミカルバランス / 閉塞性睡眠時無呼吸症候群 / 下顎前突症 / 下顎後退症 |
Outline of Annual Research Achievements |
顎変形症患者に対して行われる外科的矯正治療は、短期的に顎顔面口腔領域の硬組織と軟組織の構造を大きく変化させるため、治療に伴い呼吸機能に大きな影響を与えると考えられている。そのため、呼吸機能に配慮した外科的矯正治療の計画が必須であるが、治療に関する基本指針は未だ確立されていないのが現状である。そこで、顎顔面領域の硬組織と軟組織の量的バランスが深く関与するとした従来のanatomical balance model (ABM)を応用し、硬組織と軟組織の相対的位置関係の概念を反映させた新たなABMを考案し、術後の呼吸機能を予測する術前の顎顔面領域の形態に関するパラメータを抽出することで、呼吸機能に配慮したエビデンスに基づいた外科的矯正治療の基本指針を提案することが本研究の目的である。具体的には、骨格性下顎前突症患者および骨格性下顎後退症患者を対象 として、術前と術後6か月、術後1年の3時点で呼吸機能評価および形態評価を行い、顎顔面の形態と呼吸機能の関連を解明した。顎骨外の舌が占める割合が大きければ大きいほど、呼吸機能は悪くなる傾向が強く、特に骨格性下顎後退症患者は骨格性下顎前突患者と比較して、その影響は顕著であった。また、骨格性下顎前突患者においては、術式によっても呼吸機能への影響が異なり、上下顎同時移動術のほうが、下顎骨単独後方移動術と比較して、呼吸機能への影響が少ないことがわかった。本年度は、主に骨格性下顎前突患者への結果をまとめ、論文投稿の準備を行ってきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
骨格性下顎前突患者には、目標のサンプル数が獲得され、解析まで終了した。現在、その結果をまとめ、論文投稿の準備を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
骨格性下顎前突患者に対する研究結果は、今年度中に国際誌に投稿をする予定である。 骨格性下顎後退症患者は、骨格性下顎前突患者と比較して1割ほどの来院数であることより、サンプルの確保に苦慮している。今後は、簡易型呼吸機能検査装置の利用を下顎後退症患者に重点的に行なっていくよう調整を行い、サンプルの確保に努める。
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Causes of Carryover |
研究代表者の所属機関での勤務が昨年度より非常勤であること、また新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言下において研究活動が制限された影響により、次年度使用額が生じた。次年度は、計測機器の補充を検討している。
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