2019 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of mandibular condylar cartilage destruction mechanism and establishment of treatment method for osteoarthritis of the temporomandibular joint using cold laser
Project/Area Number |
18K17256
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
柄 優至 広島大学, 病院(歯), 助教 (50737682)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 変形性顎関節症 / Diode laser / 抗炎症作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
変形性顎関節症(TMJ-OA)は、主に下顎頭軟骨の細胞外マトリックスの退行性変化を伴う慢性炎症疾患として知られている。治療法としては薬物療法や運動療法が挙げられるが、未だ効果的な治療法の確立には至っていない。近年、近赤外パルスレーザーの創傷治癒や疼痛緩和効果が報告されてきているが、軟骨細胞炎症に対する効果は報告されていない。そこで今回、TMJ-OAのin vitroモデルを用いて、軟骨細胞に対する近赤外パルスレーザーの抗炎症作用の検討を行った。 その結果IL-1β刺激により軟骨細胞のIL-1β、IL-6、TNF-α、MMP-1、MMP-3の遺伝子発現が有意に上昇したのに対し、レーザー照射を行うとその発現上昇が有意に減弱した。またMMP-1、MMP-3、およびIL-1βの蛋白発現においてもIL-1β刺激により有意に発現レベルが上昇したのに対し、レーザー照射を行うと、発現上昇が有意に減弱した。IL-1βの下流シグナルであるNF-κBのリン酸化は、レーザー照射により減弱した。蛍光免疫染色にて細胞内のNF-κBの局在を検出したとろ、IL-1βの添加によりNF-κBの核内移行が認められたのに対し、レーザー照射群においては核内移行が有意に抑制されていた。 以上のことより、近赤外光パルスレーザーの照射はIL-1β刺激により誘導される軟骨細胞炎症を減弱することが示唆された。またその機序として、IL-1βの下流シグナルであるNF-κBの活性化の抑制が考えられた。以上の結果より、軟骨細胞に対する近赤外パルスレーザーの抗炎症作用が認められ、変形性顎関節症に対する有用な治療法となる可能性が示唆された。またこの論文は、誌上(Journal of Clinical Medicine,2020)に掲載された。
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Research Products
(4 results)