2019 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of palatal mucosal wound healing mechanism targeting p21 cell cycle checkpoint
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18K17260
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
森 浩喜 徳島大学, 病院, 助教 (90779985)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 口蓋裂 / 創傷治癒 |
Outline of Annual Research Achievements |
口唇裂口蓋裂患者における裂隙閉鎖術後の瘢痕組織は強い瘢痕拘縮により、上顎骨の劣成長や歯列弓狭窄をもたらし、重篤な不正咬合を呈することがある。また、矯正治療終了後、あるいは形成外科・口腔外科での外科的手術後の後戻りの原因となり、歯列・咬合に加え骨格的位置関係においても安定に保つことを困難にさせることが知られている。したがって、この瘢痕組織形成の抑制を可能にすることで、矯正治療後の咬合の安定化と快適な社会生活を営むことが容易となる。 p21はcyclin-dependent kinase inhibitorの一種で、発現量が増加することで、細胞分裂周期を停止(G1 arrest)させ、異常なDNA増殖を抑制しうる分子として同定され、がん細胞の異常増殖や老化、創傷治癒の制御に関与が示唆されている。そこで、本研究はp21遺伝子欠損(KO)マウスを用いてマウス口蓋粘膜の創傷治癒・瘢痕形成の動物モデルを作成し、細胞周期関連因子を標的とした創傷治癒促進作用と瘢痕形成抑制効果を有する新規薬剤を開発することを目的とした。マウス口蓋粘膜の創傷治癒・瘢痕形成の動物モデルを確立し、p21KOマウスを用い口蓋粘膜における創傷治癒を予備的に解析したところ、WTマウスと比較して創傷治癒が遅延し、マクロファージ・単球の遊走・走化性因子MIP-1α、MCP-1の発現低下とマクロファージ・単球数の減少による過剰な炎症反応が抑制されること、またマウス末梢血由来線維芽細胞においても遊走能低下により創傷治癒が有意に抑制されることが明らかとなった。また、軟骨細胞への分化能を有するATDC5細胞株を用いてIL-1β添加による細胞の遊走能を観察したところ、p21 siRNA導入細胞では細胞遊走の低下がみられた。
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