2018 Fiscal Year Research-status Report
細胞接着因子 PKP1によるWntシグナル経路を介した新規転写調節機構の解明
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18K17262
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
宮崎 佳奈子 九州大学, 大学病院, 助教 (30778840)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 歯 / 上皮細胞 / 細胞接着 / 分化 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの研究で、外胚葉異形成症原因遺伝子の一つであるPKP1はWntシグナル調節因子として働き、エナメル芽細胞分化制御を担っている可能性を発見した。PKP1は細胞膜において細胞間接着因子として働くとともに、Wnt刺激によって核内に移行し、転写調節因子として働く2つの機能を有しており、歯の発生において、空間特異的、時期特異的に歯原性上皮細胞の細胞増殖や分化制御を行っている可能性が考えられる。そこで本研究では、Wntシグナル制御下でのPKP1の役割の解明、PKP1の転写調節因子としての標的因子の同定を目的として研究を開始した。 本年度は主に、PKP1のWntシグナル制御下での細胞内局在変化をリアルタイムで解析するために、歯原性上皮細胞株に、遺伝子改変技術(CRISPR/Cas9システム)を用いてPKP1のC末端側にGFPを挿入することで細胞内局在の可視化を図った。また、同技術を用いたPKP1遺伝子欠損細胞株の樹立を行った。遺伝子シーケンスの結果、1アミノ酸の挿入を認め、フレームシフトを起こすことでPKP1遺伝子の欠損を認めた。同細胞株は細胞接着が阻害され、密着結合分子であるZo-1の細胞膜局在が阻害されていた。また、同PKP1遺伝子欠損細胞株にPKP1発現ベクターを遺伝子導入したところ、PKP1過剰発現細胞において、ZO-1の細胞膜への局在が回復し、密な細胞間接着が認められた。以上の結果から、PKP1はZO-1の局在を制御することで、細胞間接着に重要な役割を果たしている可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、遺伝子改変技術を用いてPKP1遺伝子欠損細胞株およびPKP1-GFP細胞株の樹立に成功し、PKP1の機能解析が進展したため、おおむね順調であると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度作成した細胞株を用いて、Wnt刺激下でのPKP1の細胞内局在をリアルタイムに解析し、PKP1によるシグナル制御の可能性を探る。
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Causes of Carryover |
本年度は、遺伝子改変技術を用いることでPKP1-GFP細胞株の作製をスムーズに行うことができ、経費の削減に成功した。今回未使用分は翌年度分と合わせて、PKP1の機能解析に用いる予定である。
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