2019 Fiscal Year Research-status Report
歯科を受診する自閉症におけるメラトニンの機能解明:自然免疫との接点について
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18K17264
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
嘉手納 未季 昭和大学, 歯学部, 助教 (20529367)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | メラトニン / 自閉症 / 自然免疫 |
Outline of Annual Research Achievements |
自閉症は睡眠障害が深刻な問題である。サーカディアンリズムを司る松果体ホルモンであるメラトニン量が少ないとの報告もあり、実際に睡眠導入薬としてメラトニンやメラトニン受容体作動薬を服用している患者がいる。しかしながら、メラトニンは免疫系に対する抑制作用が報告されており、実際に、自閉症の口腔内において、口腔清掃状態が良好であるにも関わらず、歯周病が難治化する症例がみられることから、メラトニン服用と歯周病悪化との関連性が懸念される。メラトニン処理したマクロファージでは炎症性サイトカインの遺伝子発現がシグナル特異的に抑制されることを確認している。またマイクロアレイのクラスター解析の結果、メラトニンは細菌だけでなくウイルス感染の抑制に関わることが示唆されたが、メラトニンの抗ウイルス免疫の詳細なメカニズムは不明であり、これらを解明していくことで免疫調節機構の一旦を明らかにすることを目的としている。 本年度は、マクロファージのウイルス感染時のメラトニンの影響について解析を行った。脳心筋炎ウイルス(EMCV)を用いて、マクロファージにウイルス感染させ、メラトニンの影響を解析したところ、StressGranuleの発現が抑制されていた。細胞膜内に局在するPIP2の変化を蛍光色素PLC(PH)GFPを用いて観察したところ、メラトニンにより細胞膜の局在は減少していた。今後はメラトニンによる抗ウイルス作用のより詳細なメカニズムについてマウスモデルを用いて解析を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度、マクロファージのウイルス感染実験の再現性が不十分であったため、予備実験に時間を要し計画通りの進捗が達成できず、申請時の予定からは遅れている。マクロファージにおけるEMCVを用いた際のプロトコールが確立できたので、今後は問題なく進行できると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
メラトニンはマクロファージへのウイルス侵入効率を減少させ、抗ウイルス免疫において抑制的に働くことから、宿主免疫機能にとって不利な働きを示す可能性が考えられる。今後はメラトニンによる抗ウイルス作用のより詳細なメカニズムおよびin vivoにおける影響についてマウスモデルを用いて解析を進める予定である。
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Causes of Carryover |
本年度の研究内容のうち、マクロファージウイルス感染実験に想定より時間を要したため、当初予定していたマウスモデルの実験が行えなかったため、次に行う予定の実験を実施できず、使用額が生じた。当該消耗品は次年度に使用予定のため、次年度請求としている。
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Research Products
(7 results)