2018 Fiscal Year Research-status Report
Explication of modulatory action to infringement information by insular cortex using optogenetics way
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18K17266
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
武井 浩樹 日本大学, 歯学部, 助教 (50632543)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 島皮質 / optogenetics |
Outline of Annual Research Achievements |
歯や舌などの口腔領域の痛みは病気との関連を理解できない小児とって精神的・肉体的に深い苦痛であり,精神発達に遅れを生じることがある。口腔領域における下行性抑制系の解明は,耐え難い「口腔領域の痛み」を取り除く歯科診療における重要な基盤となり,早期治療の確立と異常性疼痛の回避につながる。本研究では,口腔領域の痛みに対する大脳皮質からの直接的および間接的調節機構を分離し,それぞれの役割を明らかにすることを最終目標とした。 まず尾側亜核の口腔内の痛みに対する神経活動が,大脳皮質電気刺激によってどのように修飾されるかを検証する。さらに,optogeneticsの手法を導入してチャネルロドプシン2 (Channelrhodopsin 2:ChR2)を皮質ニューロンに発現させ,光刺激により尾側亜核への直接投射経路を選択的に活性化して口腔内の痛みに対する島皮質からの修飾作用を明らかにする。 イソフルラン麻酔下で生後 4-5 週齢ラットの島皮質直上の頭蓋骨を穿孔し,ハミルトン社製マイクロシリンジにてChR2を発現させるadeno-associated virusを微量注入しChR2発現ラットの作製した。 歯髄侵害情報を伝える三叉神経第三枝である下歯槽神経に電気刺激を行い,尾側亜核の単一ニューロンレベルでの発火の増加を確認した。in vivo において下歯槽神経刺激に対する尾側亜核の神経活動が,島皮質先行刺激によって増加することを示した。またin vitroにて急性脳スライス標本を作製し,興奮性ニューロン,抑制性ニューロンそれぞれにホールセルパッチクラン法を用いて450 nmLED 光刺激を行った結果,いずれもEPSCが誘発されることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究の目的は①口腔領域の痛みに対する島皮質による尾側亜核の神経活動に対する修飾作用の解析:同心円電極による島皮質電気刺激を用いて,中継核を介した全脳的な尾側亜核への修飾作用を明らかにする。②口腔領域の痛みに対する島皮質から尾側亜核への直接的な神経活動修飾作用の解析:ChR2 を発現したラットを用い,光刺激による島皮質-尾側亜核経路を活性化することで,直接的な尾側亜核への修飾作用を明らかにする。 平成30年度の実験計画は①ChR2発現ラットを用いてChR2 発現ラットへの光刺激の条件検討および光刺激による歯髄刺激応答への修飾作用の検討②尾側亜核下歯槽神経刺激応答に対する光刺激の作用解明であった。 これまで①ChR2 発現ラットへの光刺激の条件検討および光刺激による歯髄刺激男応答への修飾作用の検討が終了していないため現在の進行状況に関しては遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度の計画である①ChR2 発現ラットへの光刺激の条件検討および光刺激による歯髄刺激応答への修飾作用の検討が進むことにより、30年度の尾側亜核下歯槽神経刺激応答に対する光刺激の作用解明と平成31年度の三叉神経脊髄路核尾側亜核ニューロンの直接および間接的な島皮質の修飾作用の検討が進むと考える。 また、本研究では,記録されたニューロンの発火特性,例えば発火頻度,スパイクの幅,バースト発火の有無などから推定することを目標とするため,必要であれば,Vesicular-GABA transporter (VGAT)-Venus 遺伝子導入ラット (Venus 発現ラット) のスライス標本を用い,ホールセルパッチクランプ法を用いることでVenusの発現の有無から細胞の種類を同定し,それぞれから記録することが可能である。その結果を考慮し,細胞の同定に還元できる可能性がある。
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Causes of Carryover |
予定していた日本神経科学会および北米神経科学会の参加をとりやめたため残金が生じた。 次年度の繰越金は、平成31年度の助成金と合わせてChR2 発現ラットへの光刺激の条件検討および光刺激による歯髄刺激男応答への修飾作用の検討ならびに三叉神経脊髄路核尾側亜核ニューロンの直接および間接的な島皮質の修飾作用の検討のための物品費に使用する。
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