2018 Fiscal Year Research-status Report
破骨細胞分化を促進する微小環境形成細胞に注目した骨リモデリング制御治療の確立
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18K17271
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
後藤 洋 愛知学院大学, 歯学部, 招へい教員 (60790730)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 破骨細胞培養 / FACS / 免疫染色 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は、今までに歯根膜の圧迫による血流障害が生み出す低酸素状態と骨リモデリングに注目して研究を行ってきた。一連の研究の中で、破骨細胞形成に重要な非破骨細胞であるCXCR4+CD45-細胞が、様々なサイトカインを分泌して破骨細胞分化を促進する微小環境をつくることを明らかにした。そこで、本研究では下記の計画項目により、骨リモデリングのバランスを消失した炎症時や低酸素状態におけるCXCR4+CD45-細胞の役割を明らかにし、病態時におけるCXCR4+CD45-細胞の機能制御による骨破壊抑制をターゲットとした新規治療法の可能性を提示することを研究目的とする。 1)破骨分化促進細胞CXCR4+CD45-細胞のin vitro病態モデルにおける破骨細胞形成への関与 2)破骨分化促進細胞CXCR4+CD45-細胞のin vivo病態モデルにおける破骨細胞形成への関与 3)CXCR4+CD45-細胞の機能抑制による骨破壊の抑制効果の検討 本年度は「1)破骨分化促進細胞CXCR4+CD45-細胞のin vitro病態モデルにおける破骨細胞形成への関与」を検討することとした。まず、マウス大腿骨の脱灰切片を作成し、CXCR4+CD45-細胞の局在を調べるために免疫染色を行った。その結果、申請者が予想した通りマウス大腿骨骨髄内にCXCR4+CD45-細胞の存在を認めたことで、CXCR4+CD45-細胞が破骨細胞分化に関わる微小環境形成に関与している可能性がさらに高まった。そのことを踏まえて、現在はマウス骨髄細胞を用いて炎症時および低酸素状態下での破骨細胞培養を継続的に実施し、安定した培養手技の確立を図り、データを集積している。CXCR4+CD45-細胞が破骨細胞形成に対して影響を与えているのか、さらにどのように影響を与えているのかを今後解析していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
骨切片の免疫染色手技は確立したものの、炎症時におけるCXCR4+CD45-細胞が破骨細胞形成に与える影響およびその詳細については現在解析中である。しかし、骨髄細胞は従来の方法でソーティングすることによってバイアビリティーがかなり減少してしまい、培養実験がうまく進行しないことが多かった。しかし、一部のテクニックを変更することで格段に細胞のバイアビリティーを保つことに成功し、現在ではソーティング後の破骨細胞培養の成功率があがっている。今後の研究に与える影響は非常に大きいと考えられる。また、現在はマウスの実験と並行してヒト骨髄細胞からの破骨細胞培養を行っている。この時期にヒト骨髄に対してもFACSおよび細胞ソーティングの技術を確立しておくことで、今後の実験が円滑に進むと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
まずはマウス骨髄細胞を用いて、炎症時および低酸素下における破骨細胞培養実験手技を確立し、CXCR4+CD45-細胞が破骨細胞形成に与える影響の評価を行い、さらにそのメカニクスについて解析を進める。加えて、CXCR4+CD45-細胞のin vivo病態モデルを用いた実験手技の確立を図る。
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Causes of Carryover |
FACSを用いた実験に伴う抗体の購入に予算を当てていたが、効率的に抗体を使用できたことで今年度の物品にかかる支出を抑えることができた。また、今年度は遠方での学会発表の機会がなかったため、旅費も使用することがなかった。翌年度は炎症および低酸素状況下において、CXCR4+CD45-細胞が破骨細胞形成に与える影響およびそのメカニクスを解析する上で、FACSを使用する頻度が高くなる。さらに、メカニクスの解析にあたって免疫染色、遺伝子解析、タンパク質の解析等が必要となることが予想されるため、次年度使用額は消耗品の購入に当てさせていただきたいと考えている。また、実験データの集積と解析が進めば、学会発表の機会も設けたいと考えている。
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Research Products
(3 results)