2019 Fiscal Year Research-status Report
破骨細胞分化を促進する微小環境形成細胞に注目した骨リモデリング制御治療の確立
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18K17271
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
後藤 洋 愛知学院大学, 歯学部, 招へい教員 (60790730)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 破骨細胞培養 / 炎症 / フローサイトメーター |
Outline of Annual Research Achievements |
歯科矯正分野では骨のリモデリング機構を利用し、機械的応力を加えることによって成長の制御や歯の移動を行っている。より効果的な歯の移動を行うために破骨細胞の分化および活性化の制御機構について明らかにすることが重要である。これまでに、マウス骨髄サンプルを用いて、非破骨細胞であるCXCR4+CD45-細胞が様々なサイトカインを分泌して破骨細胞分化を促進する微小環境をつくることを明らかにした。そこで、本研究の目的は、破骨細胞分化に重要なCXCR4+CD45-細胞の炎症時での機能を明らかにし、その病態におけるCXCR4+CD45-細胞の機能制御による骨破壊抑制をターゲットとした新規治療法の可能性を提示することである。具体的には、次の3ステップによる研究の遂行を計画している。1)炎症時における微小環境構成細胞の in vitro 病態モデルにおける破骨細胞形成への関与、2)炎症時における微小環境構成細胞の in vivo 病態モデルにおける破骨細胞形成への関与、そして 3)微小環境構成細胞の機能抑制による骨破壊の抑制効果を検討する。 本年度の研究では、まず破骨細胞形成においてTNF-aをはじめ各種炎症性サイトカインがCXCR4+CD45-細胞へ与える影響について検討をした。さらに、それらの炎症性サイトカインによるCXCR4+CD45-細胞の遺伝子発現の変化を確認した。また、マウス腹腔内に直接炎症性サイトカインを投与し、骨髄内のCXCR4+CD45-細胞数および構成細胞の割合の変化をフローサイトメーターを用いて調べた。今年度は、以上のように各種炎症性サイトカインが破骨細胞形成に関わる微小環境にどのような形式で影響を与えるのかについて検討を行ってきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究は概ね順調に進行している。申請者のこれまでの研究において、TNF-aが破骨細胞形成に影響を与えることを確認していたため、本実験においてもTNF-aによる微小環境への影響から検討を開始した。しかし、TNF-aは作用する細胞によって破骨細胞形成を促進する側面も抑制する側面も併せ持っているため、破骨細胞形成に与える影響が複雑になってしまい破骨細胞形成に与える影響の評価が困難になってしまった。そこで、現在はTNF-aだけではなく、その他の炎症性サイトカイン(IL-1β、IL-6、LPS)についても検討を進めていくこととしている。その上で、骨髄内に存在するCXCR4+CD45-細胞数の変化や、遺伝子発現への影響を検討していく。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の進捗状況を踏まえて炎症性サイトカインとその受容体をもつ細胞の選択を再度検討した結果、IL-1βがマウス破骨細胞形成を促進することを確認した。また、骨破壊が進行しているリウマチ患者の滑液にはIL-1β発現が高いことが確認されている。以上のことを踏まえて、具体的に次のように研究を進行していく予定である。1)破骨細胞/非破骨細胞におけるIL-1β/IL-1βR1の遺伝子発現を確認する。2)CD121+CD45-細胞が破骨細胞形成に与える影響を検討する。3)CD121+CD45-細胞/ CD121+CD45+細胞の遺伝子発現を解析する。4)CD121+CD45-細胞とCXCR4+CD45-細胞との関係を検討する。そして、5)上記の結果から、微小環境構成細胞の機能抑制による骨破壊の抑制効果を検討することとしたい。
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Causes of Carryover |
今年度は遠方での学会発表の機会がなく、旅費を使用することがなかったため次年度使用額が生じている。次年度においては、CXCR4+CD45-細胞もしくはCD121+CD45-細胞が破骨細胞形成に与える影響およびそのメカニクスを解析する上で、フローサイトメーターを使用する頻度が高くなる。さらに、メカニクスの解析にあたって免疫染色、遺伝子解析、タンパク質の解析等が必要となることが予想されるため、次年度使用額は消耗品の購入に当てさせていただきたいと考えている。また、実験データの集積と解析が進めば、学会発表等の機会も設けたいと考えている。
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Research Products
(1 results)