2018 Fiscal Year Research-status Report
Development of scar suppression method applying TGF-beta inhibitory effects of microfiber-associated protein MAGP-1
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18K17275
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Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
藤田 隆寛 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 助教 (30781421)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 口蓋裂 / 瘢痕 / TGF-β / MAGP-1 / Fibrillin-1 / EMILIN-1 |
Outline of Annual Research Achievements |
口蓋裂に対する口蓋形成術において、術後に起こる瘢痕を予防的に解決する方策は未だ不十分である。瘢痕は創傷治癒後にtransforming growth factor-β(TGF-β)のシグナル伝達が抑制されず、線維芽細胞が活性化されたままである場合に形成される。申請者は、適度な力学的負荷環境に置かれた線維芽細胞が、微細線維関連タンパクmicrofibril associated glycoprotein-1 (MAGP-1) の産生を増大させること、MAGP-1は微細線維の規則的配列に接着分子として主要な役割を演じることを示した。近年、このようなMAGP-1が、組織内において活性型TGF-βを捕捉することで、線維芽細胞のTGF-βによる異常なシグナリングの持続と過剰な結合組織形成の誘導を阻止することが報告された。これらのことを考え合わせ、Push-back法などの術後瘢痕に対するMAGP-1の応用を着想した。本研究は、口蓋形成術後の組織に対するMAGP-1標品の応用が、線維芽細胞のTGF-βシグナル伝達の遮断による瘢痕形成の予防に有用である可能性を示すことを目的とする。2018年度は、In vitro研究に関して、マウス線維芽細胞の細胞伸展培養による微細線維成分分析を行った。その結果、微細線維成分MAGP-1、Fibrillin-1とEMILIN-1 mRNA・タンパクが細胞伸展によって増大すること、これらは培養物において、複合体として共存し、免疫染色で共染されること、規則的配列の増生はMAGP-1, Fibrillin-1とEMILIN-1によって促進され、抗MAGP-1抗体添加伸展培養細胞ではMAGP-1, Fibrillin-1とEMILIN-1産生が抗体濃度依存性に阻害されることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2018年度ではIn vitro研究は、マウス線維芽細胞を使用し、瘢痕を想定した牽引培養で微細線維成分MAGP-1, Fibulin-5とEMILIN-1発現量を解析、MAGP-1発現を基準化する作業を終了した。現在、2018年度終了予定の培養上清および細胞のTGF-β含有量、Ⅰ・Ⅲ型コラーゲン産生の基準化、ならびにMAGP-1 siRNAおよび抗MAGP-1抗体添加によるMAGP-1阻害環境で伸展培養した細胞について、MAGP-1, Fibulin-5, EMILIN-1およびⅠ・Ⅲ型コラーゲンの発現量の評価を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は、In vivo研究に着手する。マウス口蓋の骨膜を除去して骨面を解放、瘢痕モデルを作成する。MAGP-1標品による瘢痕形成の予防、もしくは抗MAGP-1抗体による瘢痕形成の促進と瘢痕径の増大を観察する。痂皮形成直後から抗体希釈液、MAGP-1標品含有AtelocollagenあるいはMatrigelを痂皮の表面に塗布する。ドラッグデリバリー効果は確認している。正常治癒と瘢痕の形態評価を行う。両者の肉眼的鑑別は1ヶ月で可能となる。非脱灰組織をOCTコンパウンドに包埋して、タングステンナイフと切片専用粘着テープを用いて、川本法で10μの凍結連続切片を作製する。膠原線維・微細線維の産生量をHEおよびVillanueva骨染色、 Azan染色にて評価する。TGF-βの組織内含有量と線維芽細胞におけるSMAD-2/3リン酸化、ならびに組織のⅠ・Ⅲ型コラーゲン産生を、組織リアルタイムPCRと免疫染色のImageJ解析で定量する。
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Causes of Carryover |
理由は、科研費申請書に記載した通りに内定予算を使用して研究計画を完遂するため。In vitro研究では、マウス線維芽細胞を細胞伸展装置専用コラーゲンコートチャンバーにて瘢痕を想定した牽引培養を行う。培養上清および細胞のTGF-β含有量、Ⅰ・Ⅲ型コラーゲン産生を基準化する。抗MAGP-1抗体添加によるMAGP-1阻害環境で伸展培養した細胞について、MAGP-1, Fibulin-5, EMILIN-1およびⅠ・Ⅲ型コラーゲンのmRNA発現量をリアルタイムPCRで、さらに線維配列の規則性を免疫染色とImageJによる面積定量で評価する。培養上清のTGF-β含有量、Ⅰ・Ⅲ型コラーゲン産生がMAGP-1阻害環境で増大することを証明する。In vivo研究では、マウス口蓋の骨膜を除去した瘢痕モデルを作成する。MAGP-1標品による瘢痕形成の予防、抗MAGP-1抗体による瘢痕形成の促進と瘢痕径の増大を観察する。MAGP-1標品含有AtelocollagenあるいはMatrigelを痂皮の表面に塗布する。非脱灰組織をOCTコンパウンドに包埋してタングステンナイフを用いて川本法で凍結連続切片を作製する。膠原線維・微細線維の産生量をHEおよびVillanueva骨染色にて評価する。TGF-βとⅠ・Ⅲ型コラーゲンの組織内含有量を免疫染色のImageJ解析で定量する。
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