2019 Fiscal Year Research-status Report
Development of scar suppression method applying TGF-beta inhibitory effects of microfiber-associated protein MAGP-1
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18K17275
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Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
藤田 隆寛 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 助教 (30781421)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 口蓋裂 / 口蓋形成術 / 瘢痕 / TGF-β / MAGP-1 |
Outline of Annual Research Achievements |
口蓋裂の口蓋形成術では、術後の瘢痕化を防ぐための戦略はまだ不十分である。本研究の目的は、口蓋裂の口蓋形成後の組織へのMAGP-1剤投与が誘導する線維芽細胞のTGF-βシグナル伝達遮断による、瘢痕形成阻止法を確立することである。本年度は、市販のヒト・マウス線維芽細胞、およびB6マウスから確立したプライマリー線維芽細胞の牽引培養による微細線維関連タンパクの免疫組織化学的分析を行った。in vitro試験では、ICRマウスおよびヒト胎児肺線維芽細胞IMR-90から分離された口蓋線維芽細胞を使用し、細胞ストレッチャー専用の垂直コラーゲンコーティングチャンバー内のα-MEMで通常培養しました。細胞伸長装置STB-140を用いて、最適な条件(伸長率:5%、サイクル:60秒、期間:1週間)で細胞伸長培養を成功させた。微細線維成分の分析では、リアルタイムPCR、ELISA、およびウエスタンブロッティングにより、微細線維成分MAGP-1とTGF-β蓄積が細胞の拡張で増加することがわかった。MAGP-1阻害実験では、TGF-βを添加して増殖培養した細胞において、MAGP-1抗体濃度に応じてTGF-βが検出されることがわかった。さらに、MAGP-1、Fibrillin-1およびEmilin-1のmRNAsおよびタンパク質が細胞の牽引によって増加し、免疫染色と共染色された培養物中に複合体として共存した。MAGP-1、Fibrillin-1およびEmilin-1抗体は培養細胞におけるMAGP-1、Fibrillin-1およびEmilin-1産生を阻害し、抗MAGP-1投与は培養におけるTGF-β蓄積を増加させた。従って、結合組織の細胞外基質に蓄積したMAGP-1がTGF-βを捕捉することで、線維芽細胞の過剰なTGF-βシグナル伝達を阻止できる可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、口蓋裂の口蓋形成後の組織へのMAGP-1剤投与が誘導する線維芽細胞のTGF-βシグナル伝達遮断による、瘢痕形成阻止法を確立することである。本年度は、B6マウスからプライマリー線維芽細胞を確立した。その細胞を用いて、難度の高い牽引培養を成功させた。牽引培養による微細線維関連タンパクの免疫組織化学的分析を、シリコンチャンバーを応用して行うことができた。細胞伸長装置STB-140の調節は細胞を剥がさずに培養できる最適条件の設定が非常に難しく、マトリゲルや液体コラーゲンを応用してシリコンチャンバーをコーティングすることに成功した。最適な条件は、伸長率:5%、サイクル:60秒、期間:1週間で細胞伸長培養を成功させた。微細線維成分の分析では、リアルタイムPCR、ELISA、およびウエスタンブロッティングにより、微細線維成分MAGP-1とTGF-β蓄積が細胞の拡張で増加することがわかった。MAGP-1阻害実験では、TGF-βを添加して増殖培養した細胞において、MAGP-1抗体濃度に応じてTGF-βが検出されることがわかった。さらに、MAGP-1、Fibrillin-1およびEmilin-1のmRNAsおよびタンパク質が細胞の牽引によって増加し、免疫染色と共染色された培養物中に複合体として共存した。以上より、当初の予定である牽引培養細胞の生化学分析はほぼ終了し、以後の実験に取り掛かることができることを理由とする。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、瘢痕モデルである牽引培養条件によるTGFシグナル伝達のMAGP-1による抑制の至適条件を決定する。瘢痕は牽引刺激により線維芽細胞が活性化されたままであると考えられている。適度な機械的負荷環境に置かれた線維芽細胞は、微細線維関連糖タンパク質-1(MAGP-1)の産生を増加させる。MAGP-1は、微細線維の規則的な配置に貢献する接着分子として主要な役割を果たす。MAGP-1は微細線維の接着を仲介し規則的に整えるだけでなく、TGF-βを捕捉して微細線維に固定し線維芽細胞の刺激を阻止することで過剰なコラーゲン産生を抑制すると考えられる。申請者は、これらを証明し、マウスを用いたプッシュバック法などの術後瘢痕へのMAGP-1の応用を開始する。TGF-βは受容体を介して線維芽細胞によって認識され、コラーゲンなどの細胞外マトリックスの産生を促進することにより創傷治癒に貢献するが、TGF-βシグナル伝達の異常な活性化は、筋線維細胞への細胞の形成と増殖、およびコラーゲンの過剰生産で瘢痕形成を導く。口蓋形成術後のMAGP-1の創傷への投与は、口蓋裂の口蓋形成術後瘢痕化を防ぐための新しい医学的アプローチとして有用であると考えられ、動物実験を開始する。
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Causes of Carryover |
計画は順調に進行しており、次年度も研究を継続する。次年度は、瘢痕モデルである牽引培養条件によるTGFシグナル伝達のMAGP-1による抑制の至適条件を決定する。これらの生化学的実験と動物実験による証明に掛かる消耗品およびマウスの飼育費用を予定通り申請する。動物実験ではマウスを用いたプッシュバック法などの術後瘢痕へのMAGP-1の応用を開始する。そのマウス飼育費用と試薬の消耗品費用を申請する。口蓋形成術後のMAGP-1の創傷への投与は、口蓋裂の口蓋形成術後瘢痕化を防ぐための新しい医学的アプローチとして有用であると考えられ、動物実験を開始する。そのマウス実験のための消耗品の費用を申請する。
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Research Products
(1 results)