2019 Fiscal Year Research-status Report
『口腔マイクロバイオームの健全化』を目指した『次代歯周病予防薬』の開発
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18K17276
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
土門 ひと美 東北大学, 歯学研究科, 大学院非常勤講師 (60747145)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 歯周病関連菌 / 増殖抑制 / 代謝抑制 |
Outline of Annual Research Achievements |
Porphyromonas gingivalis(Pg)、Prevotella intermedia、Fusobacterium nucleatumといった歯周病関連菌は、タンパク質やジペプチドを特異的に代謝し増殖する。現在、歯周病の予防・治療薬は、クロルヘキシジンなどの非特異的殺菌剤が主流である。しかし、これら細菌のタンパク質・ジペプチド代謝を選択的に阻害する薬剤を見い出せれば、歯周病を『選択的に予防』でき『口腔マイクロバイオームの健全化』を図ることが可能となる。 そこで令和元年度は、(1)30年度に選定した蛍光基質を使用して、タンパク質分解酵素(gingipain)およびジぺプチジルペプチダーゼ(DDP)に対するフッ化物による酵素の活性抑制効果を検討した。実験にはPg の標準株(ATCC33277)を使用した。嫌気条件下、37℃にて培養し、対数増殖期に回収・洗菌後のペレットを4℃及び‐20℃で保存した。4℃で保存したペレットは、タンパク質分解酵素用蛍光基質の代謝実験に使用した。一方、‐20℃で保存したペレットは超音波粉砕し、抽出した酵素を用いてジペプチジルペプチダーゼ用蛍光基質の代謝実験を行った。それぞれの酵素活性を継時的に測定したところ、フッ化物共存条件下でどちらの酵素活性に対しても抑制効果はみられなかった。 さらに、(2)30年度にフッ化物により歯周病関連菌の増殖が抑制されることが明らかになったため、同Pg 標準株を嫌気条件下、37℃にて、各種濃度のフッ化物含有培地にて培養を行い、24時間後の菌体内の代謝中間体および最終代謝産物を網羅的に定量分析(メタボローム分析)し、その変動を解析した。いくつかの最終代謝産物は、低濃度フッ化物添加時に、ほぼ均等に減少し、また、いくつかの中間体代謝物については蓄積が観察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績欄に記載したとおり、令和元年度の目標であった項目をおおむね順調に進展し、さらに次年度に向けての土台となったためこの区分とした。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)最終代謝産物および菌体内中間体代謝物の変化から、フッ化物はPgの一部の酵素を阻害することが示唆された。次年度は、フッ化物によって阻害される酵素を特定する。さらに、(2)フッ化物によるPg 33277のタンパク質やジペプチドだけでなくアミノ酸の取り込みの抑制効果を検討する。 なお、得られる研究成果は、歯科基礎医学会などの学術大会にて発表する予定し、国際誌への投稿を目指したい。
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Causes of Carryover |
実験全体はおおむね順調に推移したが、今年度予定していた実験の一部について、実験の順序を入れかえ、実施時期の変更(次年度以降)が必要となったため、それらの実験に必要な研究用備品や試薬の購入費用を繰り越すこととなった。 また、情報収集のための国内学会やシンポジウムへの出張について、当初予定していた歯科基礎医学会などは、天候などにより紙上開催となり、移動費用が不要となったため、その分の費用についても次年度に繰り越しとなった。 繰り越し分については、延期した実験を実施する際に予定通り使うほか、次年度の情報収集・学会発表などの旅費として使用予定である。さらに、論文作成費用としても使用予定である。
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Research Products
(1 results)