2019 Fiscal Year Research-status Report
プロバイオティクス(L8020菌)を用いた障害者の歯周病発症リスクの軽減
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18K17285
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
尾田 友紀 広島大学, 病院(歯), 病院助教 (40641949)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | プロバイオティクス / 知的能力障害 / L8020菌 / ゲノム解析 / 次世代シーケンス |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、実験4と解析まで終了した。結果としては、プラセボ群と比較してL8020群では,Red Complexの総菌保有率及びT. forsythia単独の菌保有率の増加量は有意に少なくなっていた(各P=0.015,P=0.044)。この研究内容は、現在英語論文校正中であり、近日中に投稿できる予定である。また、成果発表としては、第30回日本老年歯科学会(仙台)、第36回日本障害者歯科学会(岐阜)で発表しており、第22回広島大学歯学部同窓会奨励賞および第36回日本障害者歯科学会学術大会優秀発表賞を受賞した。 また、本年度は追加実験1として、障害者と健常者の口腔内細菌叢、特に歯周病に関連した細菌の細菌叢に違いがあるかどうかを検討した。本若手研究は「障害者に対するL8020菌の効果」について検討しているが、その結果は健常者にも言えるのかどうか検討するためにはこの追加実験は必要である。健常群と比較して障害群では歯周状態が有意に悪かった(P<0.0001).また,両群から代表的な歯周病原因菌28種のうち16種が検出されたが,それらの種が属する12の属の総菌比率は,障害群では健常群と比較して有意に高かった(P<0.0001).この研究内容は、現在英語論文校正中であり、近日中に投稿できる予定である。 追加研究2として、プロバオティクスに含まれる有用菌(本研究ではL8020菌)は、継続摂取することでどの程度、菌保有者や相対的菌保有率が増加するのかを検討するため、実験4で得られた結果を追加解析した。この研究内容も、現在英語論文執筆中であり、近日中に投稿できる予定である。結果として摂取前後で, Lactobacillus spp.の保有者は4名から6名へと増加した。また、16名全体のLactobacillus spp.およびL. rhamnosusの相対的菌保有率は有意に増加した(各P=0.010,0.031)。この研究内容は、現在英語論文執筆中であり、近日中に投稿できる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究方法は、[実験1:最終被験者の決定][実験2:摂取・歯周病検査・歯垢採取][実験3:RT-PCR法分析][実験4:メタゲノム解析]である。現在、実験4まですべて終了し、L8020菌が歯周病に及ぼす臨床的効果と菌聡の変化が明らかになった。英語論文の執筆を終え英文校正中である。また、本研究で比較対象として、健常者に対して行ったゲノム解析結果を、障害者と比較するため統計を開始したところである。得られたデータより乳酸菌がどの程度定着したのかも追加で検討していきたいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在英文校正中の論文がアクセプトされるべく、さらに研究を進める。また、健常者と障害者の歯周病原因菌の菌叢比較についても統計を終了して、論文執筆に移りたいと考えている。
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Causes of Carryover |
本研究は計画通り順調に進行しているが、追加で行う予定であった研究の参加者の検体が、新型コロナウイルス感染拡大予防のため予定通りに患者が来院せず、収集できていないため、ゲノム解析を5月以降に行うこととした。そのため予算を翌年度分として使用することとなった。
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Research Products
(5 results)