2018 Fiscal Year Research-status Report
聴覚を介する自律神経活動制御法の確立 ―時計遺伝子欠損マウスでの検討と臨床応用―
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18K17287
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
山下 薫 鹿児島大学, 附属病院, 医員 (50762613)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 自律神経系 / 心拍変動解析 / 聴覚 / 音楽 / 歯科 / 心理状態 / 脳波 / 時計遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
下顎埋伏智歯抜歯中の音楽聴取が自律神経系と心理状態に与える影響を調べるために音楽聴取を併用した抜歯中の自律神経系と心理状態を評価・解析し、比較検討を行った。鹿児島大学病院臨床研究倫理審査委員会の承認を得て行った。 下顎水平埋伏智歯と診断され、抜歯適応となった20-40歳の女性患者40名中脱落を除く34名を17名ずつ対象群と音楽群にランダムに割り付けた。Modified Dental Anxiety Scale(MDAS)を処置開始前に、State-Trait Anxiety Inventory (STAI)を処置開始前と終了時に取得した。ヘッドホンを装着下で両群とも安静後、音楽群では音楽を聴取させながら処置を行った。交感神経活動(LF/HF)、副交感神経活動(HF)、血圧、心拍数、MDAS STAIの値を統計学的に解析した。2群間において、年齢、身長、体重、局所麻酔薬の量、手術時間、術前のMDAS、STAIに有意差は認めなかった。対照群では、安静時と比較して局所麻酔、切開剥離、骨削合、歯冠分割、抜去においてLF/HFが有意に増加していた。(p< 0.05) 音楽群では、安静時と比較して局所麻酔、抜去においてLF/HFが有意に増加していたが、切開剥離、骨削合、歯冠分割では対照群と比較してLF/HFの有意な増加が抑制されていた。(p< 0.05) 対照群と比較して、音楽群では術前から術後のSTAI状態不安の減少度が有意に大きかった。(p< 0.05) 下顎埋伏智歯抜歯中の音楽聴取は切開剥離、骨削合、歯冠分割中の交感神経活動の増加を抑制し不安を軽減させることが示唆された。本研究内容をまとめた論文は国際誌J Oral Maxillofac Surgに掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
下顎埋伏智歯抜歯中の音楽聴取が自律神経系と心理状態に与える影響について評価・解析し、国際誌に掲載された。また、下顎埋伏智歯抜歯前の脳波・自律神経系・心理状態を評価・解析し、国際誌への投稿を予定している。ヒトを対象とした実験系の確立を進めており、本研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒトを対象とした実験系の確立に向けて、研究を進める予定である。
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Causes of Carryover |
前年度に購入していた消耗品があり、そちらを使用して研究を行えたため。今年度より消耗品の購入が必要なため、そちらで使用する予定である。
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Research Products
(12 results)