2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K17296
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
福西 美弥 昭和大学, 歯学部, 助教 (30783287)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | デンチャープラーク / PMMA / バイオマテリアル / MPCポリマー / バイオフィルム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,これまでの研究成果を踏まえ東京大学大学院工学系研究科マテリアル工学専攻石原教室と共に,可視光線の官能基であるカンファーキノンと歯科用光照射器を利用した新たなMPCコーティング法を開発し,その耐久性と臨床的有用性の向上を図る.この開発に成功すると,臨床応用の普及が加速し,義歯表面に付着するデンチャープラークを抑制することで,誤嚥性肺炎や義歯性口内炎を防ぐ方法として国民の健康維持に多大な貢献が期待できる.臨床応用に向けてその技術と知識をサンメディカル社と共有し臨床応用に必要な安全性の確認をおこない,今までにない抗バイオフィルム・汚れない義歯の開発を目的としている.可視光線を用いたMPCポリマーの共重合体開発に向けての基礎研究として,UV-Cを用いたMPCポリマー共重合体を義歯床用レジンの基板上にコーティングし,S.mutansによるバイオフィルムの抑制効果を検討した.UV-Cを用いたMPCポリマー共重合体をコーティングした義歯床用レジンの基板は,MPCポリマー共重合体をコーティングしていない義歯床用レジンの基板と比較し,S.mutansのバイオフィルムを約90%優位に抑制することに成功した.また,機械的・化学的耐久性があることを示した.さらに,上顎全部床義歯に付着したデンチャープラークも非コーティング群と比較して約80%の抑制効果を示した.以上より,アクリル義歯床表面へのMPCポリマーコーティングは,臨床的に応用可能なデンチャープラーク抑制法であることが示唆された.今後は,東京大学大学院工学系研究科マテリアル工学専攻石原教室と共に可視光線を用いたMPCポリマーの開発を続け,サンメディカルと共にこの重合体での商品開発に向けミーティングを繰り返し,汚れない義歯の開発へ向け安全性の確認を行うために大規模な臨床応用を行いたい.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究成果をふまえ,可視光線を用いたMPCポリマーの共重合体開発に向けての基礎研究として,UV-Cを用いたMPCポリマー共重合体を義歯床用レジンの基板上にコーティングと上顎全部床義歯に付着したデンチャープラークへの抑制効果は確認でき,臨床的な評価も安定してきていている.今後は,共同研究の東京大学大学院工学系研究科マテリアル工学専攻石原教室と共に,可視光線を用いたMPCポリマーの光増感剤の種類,重合官能基の選択を検討し,新たななMOCポリマーの開発を行っていきたい.また,大規模な臨床試験に備え,サンメディカル社とのミーティングを繰り返し意見を交換し安全性の検討を行う.
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Strategy for Future Research Activity |
カンファーキノンを用いたMPC共重合体の開発東京大学大学院工学系研究科マテリアル工学専攻石原教室と共に可視光線によって励起する光重合開始剤を含んだ新MPCポリマーの開発を行い,歯科用照射器にて義歯床へのコーティングを行ったのち,①コーティングの確認②抗バイオフィルム試験③耐久性試験 Ⅰ)機械的耐久性試験,Ⅱ)化学的耐久性試験の検討を行う.また,大規模な臨床試験に備え,サンメディカル社とのミーティングを繰り返し意見を交換し安全性の検討を行う.
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Causes of Carryover |
本研究を実施する上で、昨年度後半に実施した実験においてかかった費用が残額より上回っていたため、翌年追加される科研費と合わせて支払いを行うこととなったため残額が生じた。 今後、追加される科研費と残額を合わせて支払いを行う予定である。
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