2018 Fiscal Year Research-status Report
デンチャープラーク内細菌叢に対するMPCポリマーの影響
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18K17297
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
池谷 賢二 昭和大学, 歯学部, 助教 (30783344)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | デンチャープラーク / シークエンサー / MPCポリマー / 細菌叢 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在,我が国では急速に高齢化が進み,可撤性義歯治療の需要は増え続けている.義歯に伴う重要な問題点として,残存歯や粘膜への為害作用の他に,特にプラーク等の細菌を誤嚥することで発症する誤嚥性肺炎が挙げられる.肺炎は我が国の死因第3位である国民の健康維持増進に重要な疾患であり,高齢者での誤嚥性肺炎と強く関連している.さらに高齢化に伴い要介護者や認知症患者は増加し,義歯を含む口腔衛生状態はますます悪化している.誤嚥性肺炎を予防するためには,感染経路である口腔内からの可撤性義歯を介した感染リスクを軽減させることが重要である. 感染リスクの解明には近年普及してきている次世代シークエンサーを応用した.膨大な遺伝子配列を解析する次世代シーケンシング反応はマイクロバイオームの実態解明が可能とし,誤嚥性肺炎のような「複数の原因菌が共存的に働き」,「常在菌バランスが崩れること」で発症する疾患の解明に非常に有効である.そのためデンチャープラークを網羅的に解析し,MPCポリマーの有効性を検証するは口腔内細菌関連疾患の解明に加え,細菌付着抑制効果の付与を模索することを目的として行った. 実際にMPCポリマーを使用した際に次世代シークエンサーを用いて細菌叢の観察を行い,口腔衛生環境と細菌叢を明らかにすることができた.またMPCポリマーコーティングはデンチャープラーク自体に直接抗菌的に作用しておらず,プラークの付着抑制効果とともにデンチャープラークの幼若化に関与していることがわかった. 研究成果を論文にまとめ,現在査読中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究成果を国際学会を含む3回の学会で発表することができ,論文にまとめて研究成果を報告することができた.
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Strategy for Future Research Activity |
被験者数を増やして臨床評価を行う.現在の手法では患者自身のバイアスがかかってしまう可能性があるため,二重盲検法を用いてクロスオーバーデザインを用いて研究を行う.
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Causes of Carryover |
当該助成金の残額は研究資金とするにはわずかであったため残額として生じた.しかしながら残額を含め翌年度の研究の運営のために使用する予定である.翌年度の研究計画として,さらに被験者数を増やす予定のため,データ解析の費用が多くかかる予定である.また研究成果の発表と論文投稿に使用する予定である.
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