2018 Fiscal Year Research-status Report
Development of methodology for evaluation supply and demand in community healthcare: Construction of prediction model using NDB
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18K17308
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Research Institution | Institute for Health Economics and Policy, Association for Health Economics Rsearch and Social Insurance and Welfare |
Principal Investigator |
石川 智基 一般財団法人医療経済研究・社会保険福祉協会(医療経済研究機構(研究部)), 研究部, 研究員 (90802661)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | NDB / シミュレーション / 医療政策 / 医療情報 / 推計 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、地域医療の持続可能性の観点から、医療需給の予測を行い、将来におけるギャップを評価するための手法開発を試みるものである。 研究初年度である本年度において、まず第一に、全国のレセプト情報を集積したNDBへアクセスするための厚生労働省への利用者登録、所属研究機関での倫理審査等の諸手続きを実施した。第二に、NDBの解析を実施し、疾患別・地域別の受療数について悉皆性が高くより詳細なデータを分析することができた。解析では医療計画に資するデータ提供を目的と、5疾病5事業の対象である脳卒中と急性期心筋梗塞患者数を例に予測を行った。具体的にはNDBの解析によって受療数を導出し、国立社会保障・人口問題研究所による人口推計を基に、患者数と医療費の予測を試みた。その結果、二次医療圏によっては医療費と患者数のピークが一致しない可能性を指摘できた。この事から、医療費の変化を議論する際は、人口や患者数の変化から推察するのではなく、医療費を独立に予測する必要があると考えられる。しかし、当該年度の分析ではレセプト病名を用いて患者数を抽出しており、その推計手法の妥当性を検証する必要がある。今後は病名以外の診療行為や医薬品処方の組合せを考慮した病名決定ロジックの検討が必要であると考える。 また、供給量の予測としては専門医師数の地域別予測モデルの構築を検討している。本年度は、先行研究のレビューを行い、モデルのパラメータ設定に必要な値として、学会公開情報や基幹統計からデータ収集を行った。 本手法の開発により、詳細な受療動向の抽出が可能である。NDBの解析を、政策立案の支援に役立てるための方法論のひとつとして提示するとともに、将来需給バランスの評価を行うための手法論についての提案を行いたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究初年度である2018年度は、本研究の鍵となるNDBへアクセスするための体制整備に加え、予測モデル構築についての実現可能性の検証を目的とした。 研究に関して、所属研究機関での倫理審査の承認、NDB利用に関する厚生労働省の承認を得ることができ、協力研究者らとの連携によってモデル構築に必要なデータの抽出を試みることができた。二次医療圏別、性・年齢別のデータとしての利用可能性を確認したものの、先行研究で指摘されている通り、レセプト病名での抽出では妥当性に欠けることが課題として挙げられる。新たにデータベース等IT技術研究者との連携体制を構築し、病名決定ロジックや抽出方法についての検討を進めていく。 また、解析結果については地理情報システムを使用し、基幹統計情報と組み合わせた可視化手法について検討している。2018年度は代表者の所属機関異動に伴い、地図情報関連のデータ取得が遅れているが、研究全体への進捗には影響がないものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度については、計画書に則り研究を推進する予定である。 具体的な方針としては、引き続き医療計画における5疾病を対象として、①NDBを使用した受療動向抽出、②将来需要予測(需要の量、発生地域の予測)、③関連専門医数(脳外科、循環器等)の予測モデル構築、に順次取り組んでいく。 これらは制度の改正などの影響を大いに受けるため、書籍、学会、研究会等の参加による情報収集や議論を経て、モデルや手法論へ還元していく。
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Causes of Carryover |
代表者の所属研究機関異動に伴い、PCやライセンスが別経路で調達可能となった。そのため、初年度に予定していた機器購入や地図情報データ等にかかる物品費については購入を見合わせた。物品費は所属組織が保有していない設備やリソース状況を鑑み、精査した上で必要なデータ購入費等に充てる予定である。
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Research Products
(5 results)