2019 Fiscal Year Research-status Report
Development of methodology for evaluation supply and demand in community healthcare: Construction of prediction model using NDB
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18K17308
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Research Institution | Institute for Health Economics and Policy, Association for Health Economics Rsearch and Social Insurance and Welfare |
Principal Investigator |
石川 智基 一般財団法人医療経済研究・社会保険福祉協会(医療経済研究機構(研究部)), 医療経済研究機構, 研究員 (90802661)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | NDB / 医療政策 / 医療情報 / レセプトデータ / 公的統計 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究初年度では、分析対象とするデータベースの利用環境整備、対象疾患や対象地域の特定を進めた。2年目に当たる2019年度においては、リサーチクエスチョンに応じた分析を実施し、学会報告および論文による成果報告を行った。 第一に、医療需要推計に関する手法論の提案を目的とし、患者調査およびNDBを対象とした地域別・疾患別の分析を実施した。患者調査を基に脳血管疾患、虚血性心疾患について医療需要を定義し、将来推計の分析を実施した。第二に、NDBを使用し大腸がんについての専門家パネルによる病名同定ロジックを用いて、将来需要を推計した。当該推計によって、医療需要が人口変動と異なる推移を表すこと、疾患で層別することにより不確実性を検証できることを明らかにした。一方で、推計値たる公的統計の課題やレセプトデータであるNDBの限界点についても可視化された。特に、後者についてはデータハンドリング環境の構築や、公費医療分のデータが含まれていないため慢性期疾患の推計に与えるバイアスを除去することが課題である。 並行して、地理情報システム(GIS)を使用した解析を実施した。北海道における脳卒中診療を対象に、治療可能医療機関、専門医、CT、AG装置に10分以内に搬送可能である人口カバー率を算出し、医療資源について住民からみた利用可能性についての分析を行った。その結果、専門医の確保が課題となる地域が多かった反面、画像診断機器の配置が少なくとも治療手法の住み分けによって医療提供を可能にしている地域を可視化できた。 さらに、近年の行政審議会で議論に挙がる高額医療機器の利用状況の分析を行った。CTとMRIを例に取り上げ、地域別の利用状況や検査患者の属性分析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、医療計画を立案する際の基礎資料提供および分析手法の提案である。これまでの研究実績については、主に利用する公的統計やデータベースについて、分析を実施していきながら、その利用可能性を検証し報告を行ってきた。本年度において、当該目的に合致したテーマから国際誌に2編(筆頭)、Misc1編、学会報告を4回実施していることから順調に進展していると評価できる。 しかしながら、地理情報システムを利用した需給分析については、入手するデータの選別や対象地域の選定に時間を要しており、翌年度は空間情報を用いた分析に注力する予定である。 一方で、政策や社会情勢の変化を鑑みた上で、CTやMRIに関する分析を追加で行っている。画像診断機器の利用について、その実態を把握することは行政や各学会からの要請も多く、NDB等のデータベースを用いた分析を展開していきたいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究最終年度に当たり、これまで公表してした手法論を各論とし、一体的な分析プロセスとして提案するための統合を実施する。空間情報を利用したGISやオペレーションズリサーチ等で使用される手法を対象として、可視化モデルの手法を提案する。 また、医療機器の配置や共同利用計画は、地域医療構想協議の場で審議を行い、その結果を報告することが義務付けられているため、公的データベースを使用した分析結果を各都道府県に還元することは、地域医療の資源配置を検討する資料として意義深いと考えられる。今後、CTやMRIの適正な利用、共同利用の推進等の各論に対して、データに基づく提言を進めていくために、NDBの利用可能性を検証していきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
研究計画に基づき、次年度は①地理情報データ購入および分析ソフトの選定を行い購入費用として、②論文投稿に係る費用、③学会発表等に使用予定である。
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Research Products
(11 results)