2018 Fiscal Year Research-status Report
The development of ultrasound-guided abdominal palpation and its educational effect with mixed method
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18K17309
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
小林 只 弘前大学, 医学部附属病院, 助教 (10736391)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 超音波診断装置 / ポケットエコー / 腹部触診 / シミュレータ / 教育 / 開発 / 診察 |
Outline of Annual Research Achievements |
超高齢社会に突入した日本の医療現場において、小型化した医療機器の活用が進んでいる。超音波診断装置(以下、エコー)はその代表格であり「第2の聴診器」として、医師のみならず多職種が医療機関内外で患者ケアやヘルスケアのために活用されることが世界中で期待されている。エコー学習には、シミュレータ等を用いたOff the Job Trainingの有効性が証明されているが、エコー活用の真価の1つである超音波ガイド下触診(エコーで描出した対象物を手指で確実に触診する技術)のためのシミュレータは存在しない。世界では、コンピュータを用いたデジタル・シミュレータが一般的であるが、五感を通じた学習効果が重要である触診やエコーは、アナログシミュレータの優位性が世界中で見直されている。しかし、この目的に叶うアナログシミュレータ用に加工可能な素材が存在しなかった。 本シミュレータの開発には、①構造物造形のため素材選択、②構造物の解剖学的造形、③各構造物周囲の造形とその素材の選定・検証、④解剖学的位置関係の決定、⑤シミュレータの検証のプロセスがある。 今年度は、①本目的に適合する素材(軟質樹脂系素材)の調査・検証をほぼ終えており、共同研究開発を進めるための国内企業の選定および開発プロセスに向けて協議が終了した。現在、②と③の作業段階に取りかかっている。②に関しては、臨床現場で高頻度に遭遇し、医学生でも学習可能な対象として、胆嚢触診モデルの開発を優先的に進めている。確実に触診できた場合に音などで通知する機能を付与するための圧センサーの種類を検討中である。③に関しては、既存のエコー学習用シミュレータの欠点であった「素材の硬さ」を克服できる素材選定をほぼ終了した。実臨床に近いエコー操作と触診の教育を目指して、①で選定した素材との相性の検証を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度までに1度部位を絞った試作機(試作1期)を受注・作成予定であった。上記「①臓器の素材」は研究開始前に目処が立っていたが、「埋め込むための圧センサー」や「周囲を構成するための素材」との相性に課題多く、多くの調整が必要となった。また、「①臓器の素材」を用いた造形技術は予想よりも難しく、1つ加工するのに数ヶ月の時間を要するレベルであり、試作1期の完成には至らなかった。また、多様な素材(一般的なシリコンやウレタンなど)による実験回数の増加等の影響のため、本研究開発に必要な費用の見直しを余儀なくされている。そのため、当初の研究計画で予定していた超音波ガイド下触診学習のための「全臓器(胆嚢、腎臓、大動脈、腹水など)」の製作のうち、臨床現場で高頻度に遭遇し、医学生でも学習可能な対象として、胆嚢触診モデルの開発を優先的に進めている。上記理由により、初年度に計上していた超音波ガイド下腹部触診シミュレータ(試作1期)の受注は次年度に持ち越すこととなった。 また、初年度に計上予定であった携帯型超音波診断装置に関しては、現在類似の新製品の販売が急速に進んでいるため、本年度中に研究実施に最適な機器を購入する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
本シミュレータの開発には、①構造物造形のため素材選択、②構造物の解剖学的造形、③各構造物周囲の造形とその素材の選定・検証、④解剖学的位置関係の決定、⑤シミュレータの検証のプロセスがある。次年度は、可能な限り早期に、触診圧を完治するための「圧センサー」を組み入れた「胆嚢触診モデル」の試作機(試作1期)の完成を目指す。同時に、臓器素材・周囲素材・センサーの素材間の相性の検証を進めていく。また、素材の料金高騰等のため、本研究開発に必要な費用の見直しを余儀なくされている。そのため当初の研究計画で予定していた超音波ガイド下触診学習のための「全臓器」の製作は現状では難しい可能性が高い。また、複数回作成予定であった試作機を後日合わせて計上することで、全体の開発費用を少しでも削減するために交渉中である。 今年度中に、まずは「胆嚢触診モデル」の完成を目指し、その教育効果の検証研究を行い、標準化された学習方法を考案進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
今年度で使用予定であった主たる以下に関して、次年度に実行予定である。 1)超音波ガイド下腹部触診シミュレータ(試作1期):「①臓器の素材」は研究開始前に目処が立っていたが、「埋め込むための圧センサー」や「周囲を校正するための素材」との相性に課題多く、素材の配合や化合に関して多くの調整が必要となった。また、「①臓器の素材」を用いた造形技術は予想よりも難しく、1つの試作品を加工するのに数ヶ月の時間を要するレベルであった。現在、多様な素材(ウレタンやシリコンなど、ゴム系とは異なる他系統の素材)を用いた多くの実験を実施中である。結果として、今年度には試作1期の完成には至らなかった。従って、初年度に計上していた超音波ガイド下腹部触診シミュレータ(試作1期)の受注は次年度に持ち越すこととなった。 2)携帯型超音波診断装置:初年度に計上予定であった携帯型超音波診断装置に関しては、現在類似の新製品の販売が急速に進んでいるため、本年度中に研究実施に最適な機器を適切なタイミングで購入する予定である。
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