2019 Fiscal Year Research-status Report
糖尿病境界型が判明した人への意思決定支援ツールによる受診勧奨方法の開発と検証
Project/Area Number |
18K17318
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Research Institution | Institute for Health Outcomes & Process Evaluation Research |
Principal Investigator |
誉田 真子 特定非営利活動法人健康医療評価研究機構, 研究事業部, 研究員 (70771187)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 受診勧奨 / 境界型糖尿病 / 意思決定支援ツール / 糖尿病予防 |
Outline of Annual Research Achievements |
人間ドック検査で糖尿病の境界型を指摘された人を対象に、医療機関への受診(再検査)を促す意思決定支援ツール(漫画冊子)を配布すると、研究実施施設での従来通りに対応した場合と比較して、その後の受診割合に変化を及ぼすのかを検証する、ランダム化比較試験が開始した。具体的には、意思決定支援ツールが完成し、研究実施施設でのリクルート、研究対象者登録、ベースライン情報の収集、割付け、介入を行った。 1) 意思決定支援ツールの完成 本研究の介入で用い、本研究において核となる意思決定支援ツールが完成した。意思決定支援ツールには、意思決定支援ツールには、①境界型糖尿病や糖尿病の状態、②糖尿病に由来する合併症や境界型を放置することのリスク、③生活習慣是正の必要性と一般的な提案、④医療機関への受診勧奨と、受診に関する相談窓口の案内に関する情報を含む漫画冊子である。 2)リクルート、研究対象者登録、ベースライン情報の収集、割付け、介入 2019年5月より、研究実施施設に所属する担当保健師によるリクルート、研究対象者の登録、ベースライン情報の収集、割付け、介入が、研究プロトコルに則り開始した。研究対象者登録は順調に進み、適格基準に当該するリクルート対象者のほとんどが本研究への京六に同意し、2019年11月末には予め算出したサンプル数に到達した。ベースライン情報として必要な情報は、全て人間ドック検査項目の中に含まれるため、ベースライン時には本研究独自の収集項目はない。割り付けは、「ムジンワリ(株式会社イルカシステム)」を用いて、担当保健師が実施し、割付け結果に則り、介入を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度報告したとおり、意思決定支援ツール開発に時間を要したため、研究スケジュール全体としては少し遅れているが、意思決定支援ツール完成以降の進捗としては、計画どおりに進んた。計画どおりに進んだ理由として、研究実施施設での研究対象者リクルート、研究対象者登録が予定どおり非常に順調であったことが挙げられる。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は、介入効果を測定する(2020年3月末日まで)。しかしながら、本報告作成時点でcovid-19の影響が以下の通り生じている。 ①2019年10月、11月に研究参加登録した研究対象者について、プロトコルで規定した6か月後のフォロー(郵送物での受診確認・受診勧奨)ができていない。<理由>covid-19の影響により、予防的側面からの医療機関への受診・検査が、医療機関としても検診受診者としても困難な状況であると、研究実施施設である健診センターが判断したため。<対応>主要評価・副次的評価時には、プロトコル通りの介入がなされたとして解析する。サブ解析として、2019年10月以降に登録した対象者と、それ以前に登録した対象者との違いも解析することを考えている。 ②研究実施施設所在地が緊急事態宣言中、研究実施施設である健診センターは閉業状態にあった。また、緊急事態宣言が解除され、健診センターが再開した後も、covid-19の影響で健診センターで検査を受ける人が例年と比べてどの程度になるか、予測不可能な状況である。<対応>研究実施施設は、この状況下においても研究実施に協力的で、健診センターが営業している限りは引き続き協力するとの意向を表明してくれている。感染予防について様々な考え方があるため、研究対象者への人間ドック受診を勧奨することは難しく、現状どおり、2020年度も人間ドックを受診した研究対象者の情報を収集することに努める。 ③①の<理由>と同じ理由により、介入群・対象群ともに、境界型糖尿病での受診・検査の意思はあっても、covid-19の影響により、受診・検査を見送った研究対象者が一定数存在する可能性が考えられる。<対応>介入効果を測定する項目の中には、「受診・検査に行かなかった理由」を聞く項目がある。その質問項目の回答に、「感染予防のため」を追加した。
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Causes of Carryover |
翌年度繰り越し金が生じた理由として、2020年5月に参加予定であった国際学会がcovid-19の影響で中止となったこと、および、プロトコル論文の投稿が遅れていることがある。 翌年度の使用計画は、大きく2つに分けて考えており、(1)研究実施に伴う使用と、(2)研究の公表に伴う使用である。(1)研究実施にに伴う使用の用途としては、①研究対象者への謝礼(クオカード)の購入、②研究実施施設での研究実施に関わる必要物品の購入、③会議や打ち合わせに関わる会議費・交通費を計画している。また、(2)研究の公表に伴う使用としては、①プロトコル論文の発表、②研究プロトコルの学会発表(国内の予定)、③研究対象者の登録時収集情報を活用した報告の発表を計画している。
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