2018 Fiscal Year Research-status Report
Cost effective analysis of individualize surgery for cutaneous cancer
Project/Area Number |
18K17319
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
遠藤 雄一郎 京都大学, 医学研究科, 特定病院助教 (30624473)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 皮膚がん / 予後 / センチネルリンパ節生検 / 費用対効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年7月から9月までの期間、ロンドン大学King's College London 皮膚科で疫学研究の進めかたについて助言と指導を受けた。具体的には、疾患ごとのデータベースの作成、評価項目の決定、統計解析とシミュレーションについて立案を行った。皮膚がんごとのデータベースは、2019年4月30日現在、乳房外Paget病(EMPD)と血管肉腫のデータベースが完成して統計解析を始めた。 最も早く完成したEMPDデータベースを用いて、予後解析とシミュレーションのための遷移確率を計算した。また、センチネルリンパ節生検(SLNB)と術後の生存と再発の予測因子の寄与をまとめた。成果は、"Dermal invasion and lymph node status predict survival and postoperative relapse in extramammary Paget’s disease: a role of sentinel lymph node biopsy"として2019年4月のEuropean Association of Dermato Oncology(2019/4 フランス)の学会で発表した。EMPDに対して根治切除をうけた114例中、SLNBが明らかなリンパ節転移がなく、かつ腫瘍の皮膚浸潤のステージに無関係に施行された。全57例中55例 (96.5%)でセンチネルリンパ節が同定され、陽性率は10%であった。興味深いことに、in situの症例でもセンチネルリンパ節陽性が認められた。この結果は、皮膚の状態からセンチネルリンパ節への転移の状態を予測できないことを示唆している。したがって、原発の皮膚病変がin situでもSLNBを施行することで、転移再発により生じる生存期間の短縮と追加治療の医療費を抑えることができる可能性が示唆された。これは先行研究では言及されていない傾向であり、本研究の成果であると考える。現在はEMDPに対してはSLNBは保険適応になっていないものの、今後検討すべきであると考える。以上の内容の論文を英文雑誌に投稿予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目標とする学会発表ができているため、おおむね順調に進展した。コンサルト先は、当初NICEとしていたが、実臨床からのデータ収集と処理の精度を重視して、医療経済学で先進しているKing's College Londonへ変更した。EMDPについては予後とセンチネルリンパ節生検に意義については論文作成がほぼ終了した。今後、構成のうえ海外雑誌に投稿予定である。他の皮膚がんについても順次データベースの作成が進んでいる。定型的な解析になるため今後も進捗も問題ないと予想される。
|
Strategy for Future Research Activity |
EMPDの解析については、さらに費用対効果を検証のうえ、2019年5月末の日本皮膚悪性腫瘍学会で発表予定である。2019年6月以降、他の皮膚がんについても同様にデータベースの構築と遷移確率の推計を行う。同様に成果の集約を行う予定である。血管肉腫は全症例が16年間で35例であり、統計解析が限定的になると予想される。SLNBが保険適応となっている有棘細胞癌のデータベースは、症例数と変数を増やして構築中である。今後、各皮膚がんについてSLNBの費用対効果を検証して、事業終了までに投稿する予定である。
|
Causes of Carryover |
2018年9月の台風による関西国際空港の閉鎖により、安価な乗継便へ変更したこと、情報収集学会と発表学会の見直しを行ったことにより、出張の費用を変更したため、次年度に繰り越しを行った。次年度へシミュレーションが持ち越しになったため、今年度専用のソフトを購入する必要があると考えられる。人件費は、データの出力がスムーズであったため削減できた。
|