2019 Fiscal Year Research-status Report
Cost effective analysis of individualize surgery for cutaneous cancer
Project/Area Number |
18K17319
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
遠藤 雄一郎 京都大学, 医学研究科, 助教 (30624473)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | センチネルリンパ節生検 / 予後因子 / 費用対効果 / 皮膚がん / 乳房外Paget病 |
Outline of Annual Research Achievements |
センチネルリンパ節生検(SLNB)とは、がんが最初に転移する可能性が高いリンパ節をがんの切除前に同定してがんの有無を調べ、手術効果の最大化と合併症の軽減を両立する手術の個別化手法である。SLNBが現在保険適応となっていない皮膚がんの予後を改善するかは未だ結論が出ていなかった。本課題では、当院で施行された2011-2017年度に167件のSLNBのデータを用いてデータベースを構築した。皮膚がんのうち、乳房外Paget病についてSLNBの予後改善効果と費用対効果を解析した。 乳房外Paget病では、SLNBは無遠隔生存率と生存率を有意に改善しなかった。ただし原発切除前にSLNBを施行された症例では所属リンパ節の再発はなかった。SLNBへの転移陰性群では、観察期間内では所属リンパ節での再発が2症例あり、両症例とも原病死した。また、死亡2症例ではSLNBが原発切除時に施行されず、後日に追加されていた。病理学的な真皮浸潤(T2-4)はSLNB陽性率は15-100%とT病期に比例して陽性率が上昇した。逆に表皮内病変(T1)ではSLNBは全症例で腫瘍は陰性であった。シミュレーションでは、費用対効果は、SLNBを全例に行うのは高くないと推測された。 以上の内容を学会報告した。今後論文を完成させ、研究成果を国民に還元する。 (1) ENDO, Y et al. "Dermal invasion and lymph node status predict survival and postoperative relapse in extramammary Paget’s disease: a role of sentinel lymph node biopsy" EADO 2019 (2) 遠藤 雄一郎他、"皮膚がん手術におけるセンチネルリンパ節生検の有用性の検討" 日本皮膚悪性腫瘍学会
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通りデータベースの作成完了と解析結果を予定の学会での発表を行えたため、おおむね進捗通りである。論文作成がやや遅延しており、早急に対応する。
|
Strategy for Future Research Activity |
本課題でご支援を賜り、乳房外Paget病におけてSLNBがその周囲のリンパ節転移を良好に制御しており有用であると示した。しかし、全体でみるとSLNB陽性の頻度が10%前後と低いがんでは、センチネルリンパ節生検を一律に保険適応とするのは費用対効果に劣ると明らかになった。ただし、真皮へ浸潤した症例ではセンチネルリンパ節への転移率は26%であり、術前に真皮への浸潤が正確に予測できれば、センチネルリンパ節生検の費用対効果は満足できる水準へと高まると示唆された。今後は、術前の真皮浸潤の可視化のデータを追加して、再度医療費のシミュレーションを精緻化したいと考えている。
|
Causes of Carryover |
コロナウイルスによる学会の中止、および論文添削、および投稿費用を使用できていないため、残額が生じている。令和2年度で課題完了予定である。
|
Research Products
(2 results)