2022 Fiscal Year Annual Research Report
A descriptive research to improve practicality of the best interest standard for surrogate decision in medical care
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18K17323
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
門岡 康弘 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 教授 (50404330)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 代行判断 / 最善の利益 / best interest / 人生の最終段階の医療 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度の活動として、まず、日本人医療職を対象にunbefriended patient(十分な意思決定能力を保持せず、代行判断者のいない患者)の医療・ケアの意思決定に関する半構造化インタビューを実施した。具体的にはそのような医療や意思決定の経験、最善の利益の概念、人生の最終段階の医療に関するわが国の臨床倫理指針に関する見解などについて質問し、回答を質的に分析した。各医療職の最善の利益の概念に関する見解に一定の傾向を見出すことは困難であり、医療職数名が最善の利益基準にしたがって行う代行判断は、状況依存的で、偏りがあり、一貫性を欠く内容になりがちであることが示唆された。一方、そのような代行判断は個々の医療者にとって知識や情報の共有、道徳的自己反省、協働関係の推進といった副次的効果があることも示唆された。 また、日本人一般市民1200名を対象としたアンケート調査を実施した。unbefriended patientの治療に関する仮想シナリオを設定し、最善の利益基準にもとづく代行判断について質問した。今後、量的分析をとおしてunbefriended patientの治療方針や最善の利益に関する日本人の見解の特徴や傾向を具体的に解明し、考察する。 研究期間全体を通して実施した成果については、上記の二つの調査を通して、我が国における最善の利益基準に基づく代行判断の実態に関する詳細な記述データを獲得した点を報告できる。なお、研究進捗の大幅な遅れから、本来の研究目的である代行判断における最善の利益基準の実用性向上に関する具体的な知見はまだ得られていない。今後、分析と議論を進め、令和5年度以降に学術論文として最終報告を行う予定である。
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