動態的な需要に基づく医療資源の地理的アクセシビリティと適正配置に関する研究

2018 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 18K17327
• Research Institution: Hirosaki University
• Principal Investigator: 熊谷 美香 弘前大学, 医学研究科, 助教 (60527779)
• Project Period (FY): 2018-04-01 – 2021-03-31
• Keywords: 医療資源 / 適正配置 / 地理的アクセシビリティ

Outline of Annual Research Achievements

①動態的な需要の測定，②地理的アクセシビリティの測定，③医療資源の適正配置の検討の3つのアプローチで進める計画のうち，①動態的な需要の測定に関して，国勢調査データの収取、整備、人口動態の検討を進めた。年齢構成や人口分布状況に応じた医療資源の適正配置を検討するために，先ずは和歌山県をトライアルの対象として，小地域の統計に基づき，さまざまな地理的ユニットで人口動態の分析に着手した。年齢階級別人口構成を(1)小字レベル，(2)大字レベル＝江戸期藩政村，(3)明治行政村，(4)昭和合併期，(5)平成合併期の5階層の地理的分析単位での情報整備を行った。過去からの経年分析，現状の把握，将来の推計を階層的地理的範囲で行い，地理的情報プラットフォームを形成した。メッシュデータ（4次メッシュ）での人口動態把握についても，情報整備に着手した。

Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本年度は初年度であるために，十分な研究成果の公開にまでは至っていないが，当初計画した地理的分析単位による情報整備，データセットの構築に関わって，概ね順調に推移した。人口動態を把握するための手法や情報整備，人口動態の現状や将来推計の検討は，予定通り定期的に，スーパーバイズを受ける研究者との研究打ち合わせを実施し，進捗確認やディスカッションを行った。情報整備は上記の「研究実績の概要」に記載したように，基本的なデータの入手や整備・分析に着手している。次年度に実施する予定の，本格的な地理的アクセシビリティの測定に向けた準備を進めることはできた。
なお，本研究計画を申請後に異動があったため，研究拠点と研究フィールドが遠く離れてしまったが，現状では問題なく対応できている。

Strategy for Future Research Activity

①動態的な需要の測定，②地理的アクセシビリティの測定，③医療資源の適正配置の検討の3つのアプローチに関わって，初年度の情報整備は概ね完了しつつあり，本年度以降は前年度の成果を踏まえつつ，②地理的アクセシビリティの測定を本格化させる。
①動態的な需要の測定では，引き続きデータの収取に努めるとともに，すでに入手・整備したデータを用いた分析と成果発表へとつなげたい。具体的には都道府県や市町村，更には旧村単位や集落単位のデータ，あるいはメッシュデータなどの分析から，対象地域の地形的な条件をはじめ，人口分布と属性，道路整備状況の把握などにつとめる。人口動態の把握をどのような地理的ユニットで行うかによって，②地理的アクセシビリティの測定に関して，シミュレーション結果にも影響を及ぼすため，幾つかのバリエーションを想定して，分析結果を慎重に検討する。地理的アクセシビリティのシミュレーションに関して，具体的には，時間距離を移動コストの指標とし，先ずは，pメディアン問題に基づき，各需要地点から施設候補地までの自動車による移動所要時間の総和が最小となる適地をシミュレートする。次に，最大被覆問題に基づき，各需要地点から自動車による移動所要時間を15分間隔で60分まで設定し，それらの到達圏において需要の被覆を最大化する施設候補地についてシミュレートする。

Causes of Carryover

次年度開催予定の学会へ参加する予定であり、参加費並びに渡航・滞在費が嵩むことが予測される事から、当該年度において物品購入を見送った為。