2019 Fiscal Year Research-status Report
失語症・認知症者でも実施可能な語彙・意味的知識構造に焦点を当てた評価法の開発
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18K17328
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Research Institution | Prefectural University of Hiroshima |
Principal Investigator |
津田 哲也 県立広島大学, 保健福祉学部(三原キャンパス), 講師 (50613014)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 失語症 / 認知症 / 語彙・意味的知識 / 評価法 / コミュニケーション障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)前年度に作成した本課題といくつかの神経心理学的検査資料を整理し、本課題で用いる刺激の再統制を行った。本課題で用いる刺激については、もある程度、理解・産生しやすい頻度や心像性など語彙特性の語に限って目標項目を選択した。神経心理検査は国内外の関連する検査を収集し適切と思われるものを選択した。2)健常高齢者30名を対象にデータ収集を行った。3)2)で得られた結果や諸反応から、課題への負荷量や実験所用時間について、今後、認知症者や言語障害を有する方でもスムースに実施できるよう再検討した。この結果、認知症者、言語障害者向けの言語検査バッテリーを作成することができた。4)これらの成果の一部の結果を関連会議・学術誌で公表した(第45回日本コミュニケーション障害学会、2019年5月倉敷;Tsuda T et al. Temporal Changes in Semantic Errors in a Word-picture Matching Task in Patients with Acute Aphasia. IMJ. 26(5):363-365,2019.)。
今後は得られた健常高齢者データをもとに、脳障害者との比較対象となる基準Normを定めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画していた健常者データの収集は、近隣の機関の協力が得られ、予想よりも短期間に多くの被験者を集めることができた。データの入力と解析作業は多くの時間を要するが、概ね計画通り進めることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
1)2019年度までに得られた健常高齢者データの分析を進め、基準データ(norm)を定める。 2)失語症者・認知症者各20名程度のデータ収集を開始する。調査は研究協力者である言語聴覚士・臨床心理士ら実験協力者を中心に所属する医療機関にて行う。 3)神経心理検査結果との関連についての検証を行う。本検査に並行して認知検査(Mini-Mental State Examination、前頭葉機能検査、記憶検査、言語検査など)を実施し、健常群、失語群および認知症群の特徴を、他の神経心理学的指標と合わせて比較し、認知機能との相互作用を明らかにする。
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Causes of Carryover |
物品は心理実験プログラムやパソコンなど大学の備品でも代用できるものがいくつかあり、当初予定の予算よりも低予算でいくつかの実験環境を整えることができた。旅費は近隣の関連学会で成果を発表することができ、当初の予算を抑えることができた。当初予定していた国外の会議参加は学内の行事とも重なり、参加が叶わなかった。今年度以降に改めて参加する予定である。人件費は大学近隣の高齢者人材派遣センターに協力を依頼し実験参加謝礼や大学までの交通費が低予算で抑えることができた。今年度以降、本実験での参加者や協力者との打ち合わせ旅費などに使用していく。
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