2023 Fiscal Year Research-status Report
失語症・認知症者でも実施可能な語彙・意味的知識構造に焦点を当てた評価法の開発
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18K17328
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Research Institution | Prefectural University of Hiroshima |
Principal Investigator |
津田 哲也 県立広島大学, 保健福祉学部(三原キャンパス), 講師 (50613014)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 認知症 / 加齢 / 意味記憶 / 語流暢性課題 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023(令和5)年度も前年度に続いてコロナ対策などで入構制限のかかる医療機関などに出向いての臨床データ収集が叶わず、所属大学内で若年群や高齢健常群のデータを追加収集した。これらのデータをもとに正常な加齢が健常者の意味記憶に及ぼす影響について、従来の語流暢性課題の分析法に加えて、語流暢課題のひとつである意味属性産生課題における詳細かつ新たな分析方法を考案し、学外の研究協力者らとの検討や意見交換を重ねて分析法として確立させた。 現在までに得られた成果として①意味属性産生(Feature Listing;FL)課題を用いて、健常な若年者と健常高齢者のFL課題の成績を比較することにより,健常な成人の基準データを得、健常な加齢によるFL課題への影響があるか明らかにした。②FL課題の産生語における始語(始めに産生された語)と終語(最後に産生された語)に着目し,産生属性の分布を比較したところ、若年群と高齢群間の比較では,始語・終語ともに産生属性の分布に有意な偏りが認められたことから、加齢によってFL課題の反応内容に影響が生じることが明らかとなった。 これらの成果は2024年度の関係学会(日本コミュニケーション障害学会学術講演会、日本言語聴覚学会)にて公表する予定で準備を進めている。最終年度は認知症者や意味記憶障害を呈する症例を対象にしての調査を行っていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナ感染症の影響は一時よりも和らいでいるものの、高齢者や既往に脳血管障害を有する対象への調査は、各医療機関の入構や面会制限により困難であった。
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Strategy for Future Research Activity |
2024(R6)年度は夏ごろに臨床機関への症例データ収集に出向く予定で調整を進めている。感染対策や感染状況が落ち着いていればようやく臨床データを得て、健常同年齢群との比較検討が行える予定である。 予定通り調査が行われた後は、その成果を関連する国内外の学会や学術誌で報告する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響のため、病院などの入構制限や面会制限は続き、症例データを医療機関や福祉機関に収集のために出向くことが十分にできなかった。 このための旅費や成果の公表のための各種予定が叶わなかったため。2024年度はこうして中断していたデータ収集と各種学会での公表を予定している。
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