2020 Fiscal Year Research-status Report
Study for self-perceived burden relief which end-of-life care patients feel to others who supplied supportive communication
Project/Area Number |
18K17331
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
千葉 宏毅 北里大学, 医学部, 講師 (90713587)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 援助的コミュニケーション / Self-Perceived Burden / End-of-Life care / ロールプレイ / 模擬患者 / 質的データ / 混合研究デザイン |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は新型コロナウイルス蔓延のため、調査が困難な状況ではあったものの、いくつか調査を実施し、貴重なデータが蓄積できた。 StudyⅠでは、2組のがん患者遺族、3名の専門職(医師、看護師、ヘルパー)に対し、オンラインで4回、直接対面で2回インタビューを実施した。がん患者の遺族に対しては市中の感染状況の確認、感染対策を講じた上で対面でインタビューを実施し、経過や心情面について話を聞いた。他者に世話になることの負担感(Self-percieved Burden:SPB)について、それぞれの立場での捉え方を実例に基づいて聞きだした。SPBの形成や強弱には、患者個々人の自立的、かつ自律的なパーソナリティーが関わることが傾向として推測できた。 StudyⅡではオンラインによるロールプレイを実施した。ロールプレイはELC研修の受講群と未受講群について、誰が受講、未受講かを知らされていない模擬患者(以下:SP)が面談し、スピリチュアルペインを訴える面談を実施した後、SPの評価シートを記入した。現在、目標40名分のうち14名(35%)のロールプレイが終了した。本研究では、スピリチュアルペインに対する援助的コミュケーションのパフォーマンス(発話内容、ノンバーバルなコミュニケーションや姿勢)の比較、SPの評価(心理尺度等も含む)の比較を行う。現時点ではデータ収集段階であるため十分な結果に言及できないが、受講・未受講の違いでSPはコミュニケーションに違いを感じ、特に受講者との会話では話を聞けてもらえて良かった、またこの医療者に話を聞いてほしい、と感じる傾向が見えた。一方で未受講者との会話では話を受け止めてもらえていない、話題を逸らされたといった印象をもつ傾向が見えた。SPBスケールは、受講者・未受講者のいずれでも面談前のベンチマークから変化することはなく、受講成果に影響しない可能性が見えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2020年度は新型コロナウイルスの感染の増減を繰り返す中、研究参加者(対象者)との調整や対面でのデータ収集ができず、多くの困難をともなったことが最大の理由である。特にStudyⅠは、患者もしくは遺族から話を聞く事がデータの中心であるため、それが顕著であった。インタビュー調査の初めの段階は、インタビュイーとの信頼関係を築くことが重要であるため、オンラインや電話で話を聞くといった手段の変更を行いにくい状況であった。新型コロナウイルス感染の蔓延がやや落ち着いた2020年9月~10月に対面での調査を実施したが、その後年末に向けて新規感染者が急増したことから、継続的なインタビューを中断せざるを得なかった。特に、首都圏から地方に住む対象者にインタビューをする必要があったため、物理的に移動を制限せざるを得なかった。このような理由から、デーや収集に遅れが生じている。StudyⅡは模擬患者と看護師のロールプレイをオンラインで実施することに5月に切り替えたことから、その後データ収集は少しずつではあるが進展している。感染拡大後、効果を測定する研修会自体の開催形式がオンラインに切り替わり、参加する人数も減少したことから、データ収集のペースは遅いものの、継続的に実施できている。 また大学内の教育実施体制が大きく変化したことが理由として大きい。医療系学部は、対面実習の代替もオンラインを駆使し工夫しながら実施する必要性があった。このような通常と異なる学習環境整え実施するために、多大な時間を費やした。また少しでも体調不良を感じる学生は授業や実習に参加できないため、後日改めて休んだ学生にのみ授業や実習を行うなど教育的なフォローアップが激増している。このような状況も研究が予定通りに進まない大きな理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルス感染者数が増減を繰り返す状況から、StudyⅠの実施方法のほとんどをオンラインに変更せざるを得ないと考えている。インタビューによる質的研究の観点からすると、直接対面での調査であるほうが情報量や細かな気づきという面で望ましいが、このような点を犠牲にせざるを得ない。今後計画的に研究を実施していくためには、情報量を限定して捉えるといった対応で進めて行く必要がある。何より調査によって感染が蔓延することなどを避けるべきであるため、オンラインミーティングシステムや電話との活用によって、遅れているデータ収集を進めていく必要がある。実施内容としては、計画通り同一参加者への複数回のインタビュー、新規参加者へのインタビューを増やし、職種間の捉え方、理解の仕方、対応の方針についても今後分析を進めていく。 SudyⅡは、参加者募集の状況を研修会事務局と密に連絡をとって定期的に確認し、これまでも示しててきたように、研修申し込みの際に研究参加につながる募集要項を提示するように継続する。現時点で未受講参加者が受講参加者よりも少ないため、未受講の参加者のリクルートを積極的に実施する。また今後は、データ収集直後から音声データの文字化、会話映像データからの質的データの抽出、参加者の事前アンケート、SPのアンケートを突合させたデータセットを作成し、分析準備を進める。
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Causes of Carryover |
現状、データ収集に関わるSPの調整、協力費用の支払いが予算の中心である。新型コロナウイルス蔓延によって対面調査が実施できず、オンラインを用いたデータ収集に変更する必要が生じた。特にデータ収集の方法が、対面を避けて主にオンラインを用いたミーティングシステムの利用、オンラインに対応した模擬患者の面接等の準備が必要となった。一方、このことで調査に関わる旅費や貸し会議室の費用等への拠出がなくなった。当初計画から多少の変更が生じているが、予算執行そのものは研究の進捗状況と一致している。今後、引き続きのデータ収集と分析(主に分析前に必要な発話の文字起こし等)で助成金を使用する予定である。
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