2019 Fiscal Year Research-status Report
将来の地域医療を担う薬学生の臨床能力向上を目指した医療面接授業プログラムの開発
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18K17334
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
長谷川 仁美 帝京大学, 薬学部, 講師 (60775641)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 医療面接 / 臨床能力 / 患者情報 / 解釈モデル / 地域包括ケアシステム / 薬剤師 / 薬学生 |
Outline of Annual Research Achievements |
地域包括ケアシステムの中で患者本位の医薬分業を進めるために、薬剤師はこれまで以上に個々の患者に適した薬学的管理を実践することが求められている。本研究は、薬学生が患者中心の医療をより意識した臨床能力を身に付けさせるための教育プログラムを開発することを目的として実施している。 2019年度では、模擬医療面接に使用するシナリオを見直し、新しい症例を用いて模擬医療面接&薬剤師及び薬学生の医療面接スキルアップに関するワークショップを実施した。地域医療を担う薬剤師像を学生に意識してもらうために、シナリオは患者からしっかりと情報を得ないと適切なケアができないように工夫をした。模擬医療面接の様子はビデオで撮影し、録画内容からKH Coderを用いたテキストマイニング、The Roter Method of Interaction Process Analysis System (RIAS)による会話分析を行なった。さらに薬剤師役の表情分析等を併せて行い、前年度の症例と比較した。その結果、両症例に共通して、薬剤師は学生と比べて社会情緒的カテゴリーの発話割合が多く、表情が豊かな傾向にあった。また、実務実習前の学生は薬剤情報提供書を読み上げる時間が多く、新たな患者情報の聴き取りはあまり行えていなかった。前年度の症例では、学生より薬剤師の方が治療方法に関する閉じた質問の発話数が多く、薬剤師は患者のアドヒアランスを十分に確認していることを反映しているものと考えられた。一方、今年度の症例では薬剤師は情報収集に関する発話が学生より多い傾向にあり、特に開放型の質問数が多いことがわかった。さらに、薬剤師が医療面接を行なった時の模擬患者による心理社会的なことに関する情報提供の発話数が多くなっていた。このことから、今年度の症例の際に薬剤師は、患者の解釈モデルを引き出す医療面接を行っていることが考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は将来地域医療を担う薬学生に対して、薬学的ケアやフォローアップを意識した臨床能力を身につけてもらうための教育プログラムを作成することが目的である。さらに、そのプログラムを受けた学生を適切に評価するための評価表を作成するところも本研究の目的であり、様々な症例に対応する評価表を作成する必要がある。そこで、本年度では新たな症例を作成し、模擬医療面接&薬剤師及び薬学生の医療面接スキルアップに関するワークショップを実施した。対象者は前年度と異なっているものの、言語・非言語分析のところでは、前年度と同様の結果が見られたり、新たに発見したものもあった。エビデンスに基づいたプログラムの構築に向けて、順調に分析を進めることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度実施したワークショップでは、薬学生と薬剤師にインタビューを行なった。現在そのインタビュー内容について、質的な手法を用いて分析しているところである。その結果を基に、現在作成中の評価表をブラッシュアップしていく予定である。完成した評価表を用いて全ての模擬医療面接の様子を複数人で評価し、信頼性のあるものにしていく。また、新たな症例による模擬医療面接も既に実施したため、引き続き会話分析も行っていく。
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Causes of Carryover |
研究に協力してもらう方々への謝金が少なかったことから、次年度使用額が生じた。また、分析に使用するソフトの金額が当初の計画より少なく計上できた。
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Research Products
(4 results)