主観的健康統制感に基づく健康寿命延伸のための体験型栄養教育プログラムの開発と評価

2018 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 18K17337
• Research Institution: Tokoha University
• Principal Investigator: 池谷 昌枝 常葉大学, 健康プロデュース学部, 准教授 (00410499)
• Project Period (FY): 2018-04-01 – 2022-03-31
• Keywords: Health Locus of Control / 健康寿命の延伸 / 栄養教育プログラム / 高齢者 / 体験型

Outline of Annual Research Achievements

本研究は、健康寿命延伸のための栄養教育プログラムの開発と実効性の検証である。教育プログラムにおける最大の課題は行動変容への実効性であり、本研究ではHealth Locus of Control（主観的健康統制感：以下HLCとする）に基づく対象者のタイプ分類を考慮した処遇と講義+調理実習を複合した体験型プログラムが特徴である。今年度は第一段階としてプログラムの開発を行った。HLCで分類される内的型と外的型では適応する処遇が異なるため、2種類のプログラムを作成した。プログラムの作成にあたっては、サルコペニアやサルコペニア肥満、フレイル、ロコモティブシンドロームなど筋肉や運動機能に関連した病態の改善と、生活習慣病対策としての食後高血糖の予防を重視した行動目標を掲げることとした。そのための準備として、高齢者特有の病態や生活習慣病改善に有効である栄養療法についての文献検索を行い、積極的摂取を必要とする栄養素とそれを含む食品や料理、必要栄養量の設定、栄養摂取のタイミング、簡便かつ効果的な日常生活活動量を増加させるための運動についての綿密な検討を行った。また、身体的側面だけでなく心理的側面にも注目し、センテナリアンの生活スタイルに関する文献も参考とした。そして、これらの結果を統合し実行可能な行動目標を10項目設定して教育媒体と行動目標の進行を調査するための調査票を作成した。プログラム作成後は講座及び調理実習が可能な施設を探し、使用に関する許可を得るための交渉と対象者公募のための資料作成、広報活動を行った。これらにより2019年度実施予定である第二段階のパイロットテストに関する対象者数を概ね確保することができた。2019年度は、公募により確保された対象者からの同意を得たのち、作成したプログラムを実践する予定である。

Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

2018年度は栄養教育プログラムの作成と対象者の確保が主要な課題であり、2019年度から開始するパイロットテストへの準備を整えることを目標としていた。この目標はおおむね達成することができ、2019年度への準備が整った。予定していたパイロットテストの対象者は35名×2コース分として合計70名であり、現在までに確保された人数は29名と34名の合計63名である。

Strategy for Future Research Activity

2019年度は2018年度に作成したプログラムを用いた栄養教育を実施する予定である。実施に先立ち、公募により確保された対象者に対する同意を文書にて確認し、同意が得られた者を対象とする。本研究で実施する栄養教育プログラムでは、HLCの統制型別のプログラムの効果を検証することが最終目標であるが、2019年度に実施する2コースのパイロットテストでは、対照群を設定する代わりに1コース目は全員に内的型プログラム、2コース目は全員に外的型プログラムを行い、統制型と教育媒体との適合について評価し内容の修正を検討する。また、体験型プログラムとして調理実習を組み込んでいるため、パイロットテストにて調理の作業量や献立内容の評価も併せて行い、次年度以降のプログラムに反映できるように検討する。この2コースのプログラム実施により、統制型とプログラムの適合性及び調理実習内容を評価し、2020年度以降では統制型と一致した処遇で作成した体験型プログラムを実施し、健康寿命延伸のための行動変容に対する実効性を検証していく予定である。