2019 Fiscal Year Research-status Report
高齢者への薬物治療の実態解明と評価及びエビデンスの創出動向
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18K17345
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Research Institution | Institute for Health Economics and Policy, Association for Health Economics Rsearch and Social Insurance and Welfare |
Principal Investigator |
浜田 将太 一般財団法人医療経済研究・社会保険福祉協会(医療経済研究機構(研究部)), 医療経済研究機構, 主席研究員 (80712033)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 高齢者 / 薬物療法 / ポリファーマシー / 介護老人保健施設 / データベース |
Outline of Annual Research Achievements |
高齢者は多病であることが多く、疾患ごとに薬剤を処方することで多剤併用の状態に陥りやすい。また、医療ニーズが様々である上、生活の場や介護の必要度等が異なり、個々の状況に応じた薬物治療を提供する必要がある。一方で、高齢者の薬物治療においては、十分に科学的な意思決定を行うためのエビデンスが不足しているのが現状である。
(1)レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)を用いて、75歳以上の高齢者を対象として、平成29年5月診療分の内服薬剤種類数を個人単位で評価した。その結果、5種類以上の調剤を受けていた人は、調剤レセプトのみで55%、院内処方を含めると60%であった。複数の薬局(院内処方を含む)から調剤があった割合は、薬剤種類数が5種類未満では16%であったのに対し、5種類以上では32%であった(P<0.001)。本検討により、高齢者の薬剤種類数は従来のレセプト単位での解析では過少評価されていること、特に多くの薬剤を内服している患者は複数の薬局から調剤を受けている可能性が高く、より正確な多剤服用の実態把握が必要であることが示唆された。研究成果は国内学会にて報告した。
(2)高齢者を対象とした臨床研究の動向として、医薬品の承認取得状況や臨床研究情報ポータルサイトを用いて、対象薬剤クラスの絞り込みを行った。特に、研究対象者の選択/除外基準に着目して情報を抽出し、結果の要約方法を検討中である。また、新たな研究として、海外で開発された介護施設入所者の多面的なフレイル評価の指標の日本版を作成し、論文化を行っているところである。将来的に、薬物治療の意思決定にフレイルをどのように考慮していくかを検討する場合等に有用であることが期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
高齢者を対象とした臨床研究の調査では約250件が評価対象となったが、臨床研究情報ポータルサイトで公開されている情報のうち、不明確と思われたデータを別ソースで再検索したり、研究結果を把握したりするのに時間を要しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度に取得・収集したデータの解析を進め、学会発表および論文投稿を行う。
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Causes of Carryover |
進捗状況がやや遅れていることから、学会発表の旅費や論文の英文校正費等が不要となったことで次年度使用額が生じた。
使用計画としては、研究成果を学会や論文で発表するのに用いるとともに、データベース解析に必要な高性能のパソコンのリース費用に充当する予定である。
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