2018 Fiscal Year Research-status Report
日本の第3次医療機関の救急外来における内服抗菌薬の使用に関する前後介入研究
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18K17347
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Tama Medical Center (Department of Clinical Research) |
Principal Investigator |
田頭 保彰 東京都立多摩総合医療センター(臨床研究・教育研修センター(臨床研究部)), 感染症科, 医員 (70799668)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 抗菌薬適正使用 / 救急外来 / フィードバック |
Outline of Annual Research Achievements |
日本全体において1日に200万人に抗菌薬が使用され、その90%は内服の抗菌薬である。外来における適切な内服抗菌薬処方は薬剤耐性の観点から非常に重要な課題である。しかし、日本における内服抗菌薬の処方現状については不明な点が多い。そこで、処方の頻度及び適切率を評価し、さらに不適切な抗菌薬処方につながる因子の検討を行った。結果として、約50%の抗菌薬は不要もしくは処方選択薬の種類や量に不適切であることが判明した。さらに、不適切な抗菌薬処方に関与する因子は、患者因子ではなく医師側の因子や環境因子が重要であることが判明した。上記については、2019年2月に雑誌「Open Forum Infectious Diseases」に「Misuse of Discharge Antimicrobial Prescription in the Emergency Department: An Observational Study at a Tertiary Care Center」という題名で論文受理された。 この結果をもとに抗菌薬の適正使用を推進するために医師に対する複数の介入プランを計画し、処方頻度及び適切率を介入前後で比較検討することとした。 具体的には、厚生労働省作成の抗微生物薬の手引き及びオリジナルの内服抗菌薬手引きの作成と抗菌薬適正使用に関する各科医師に対する感染症専門医による講義、電子カルテ内の処方オーダーセットの作成を行った。さらに2018年10月以降は処方後のフィードバックを処方医師に直接メールもしくは電話で行い行動変容を促した。さらに月毎の処方頻度と適切率を院内の医師にデータという形でフィードバックを行うことを開始した。2019年3月の時点で介入による抗菌薬の処方頻度は減少し、処方適切率は改善をしている。9月まで介入を継続し、効果について検証を行い報告を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2018年9月まで介入前の準備を行い、2018年10月から介入を開始している。介入への障壁もなく、また、継続性困難な状況ではないためおおむね順調に進展していると判断している。現在、処方頻度及び処方適切率は介入後は改善傾向にあり、それによる患者への有害事象も生じていない。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年9月まで現在の介入を継続し、介入による抗菌薬処方の頻度と適切率を介入前の2016年のデータと比較し、前後比較研究として論文への投稿を予定している。 また、後観察期間として、介入を中止した後の抗菌薬処方の頻度と適切率についても観察を行い、報告予定である。
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Causes of Carryover |
国際学会に参加する費用及び介入のための手引きの印刷費用が安く生じたため次年度使用額が生じた。 本年度も国際学会への参加、論文投稿費用、データを管理するための人件費としての使用を計画している。
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