2021 Fiscal Year Research-status Report
マンモグラフィ検診の石灰化に着目した検診精度の底上げと新規マネジメントの基盤構築
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18K17350
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 章子 東北大学, 医学系研究科, 大学院非常勤講師 (50723912)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 高濃度乳房 / 偽陰性 / J-START |
Outline of Annual Research Achievements |
若年者の乳房は乳腺密度が高く(高濃度乳房)、マンモグラフィ(MG)検診では感度が低下することが知られており、感度低下を補い検診精度を向上させる方法として超音波検査(US)が有用であることが示唆されていた。この課題を解決するため、40歳代のMG検診における感度低下を補う対策として、USを追加する効果を検証するための世界初の大規模ランダム化比較試験(Japan Strategic Anti-cancer Randomized Trial : J-START)が行われている。初回検診結果は、US介入群で癌発見率は1.5倍に上昇し(コントロール群:0.33% vs 介入群:0.50%)、中間期癌は半減、感度は90%台まで上昇するが、検診の不利益となる要精検率も1.5倍に上昇した(8.8% vs 12.6%)。我が国の乳癌罹患の中心は40、50歳代にあるため、この年代により精度の高い検診を行うことは重要な課題である。J-STRATの第2報として、我々は2007年10月~09年9月に宮城県対がん協会、仙台市医師会、石巻市医師会が行った乳がん検診の受診者のうち、研究に登録された1万9,213例(解析対象:介入群9,705例、非介入群9,508例)を解析し、乳房濃度別の感度、特異度解析による超音波検査の評価についての報告をおこなった。感度は高濃度乳房の集団、非高濃度乳房の集団とも、介入群で有意に良好であった。一方、特異度は非介入群に対し、介入群で有意に低かった。要精検率、生検率は、ともに介入群で高かった。以上の結果からMG検診では乳房濃度に関らず、検出できない乳がんが存在する(偽陰性)が、US検査の追加によりMG偽陰性の問題は解決できることが分かった。40歳代女性の乳がん検診には、MGにUSの追加が妥当とである可能性が示唆された。JAMA Netw Open. 2021;4(8)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マンモグラフィ検診開始から20年という長い年月を経て成熟してきた乳癌検診であるが、今後も検診精度の向上や新たなエビデンスの創出など改善を目指す取り組みを継続する
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Strategy for Future Research Activity |
40歳未満の乳癌検診の有効性を示すエビデンスは存在しないため、厚生労働省の指針においても40歳未満は検診対象外であり、若年性乳癌の早期診断の方策を国が提供していないという課題がある。検診精度向上の一環として近年検診と並ぶ医療政策であるブレスト・アウェアネスの重要性も認識されており、啓発を適切な時期に正確に行うことが実現すれば日本人女性の死亡率低下に寄与する可能性があると考えられる。我が国においては未だ認知度が低く議論されてこなかったが、広く浸透させたい概念であり、40歳未満、30歳代のの若年性乳癌の早期診断の方策の検証とともに啓発方法についての研究を進める予定である。
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Causes of Carryover |
2007年10月~09年9月に宮城県対がん協会、仙台市医師会、石巻市医師会が行った乳がん検診の受診者のうち、J-STARTに参加を承諾し、研究に登録された1万9,213例のMG画像にて乳房構成を判定したが画像が借用可能であったため差額が生じた。今後は30歳代の乳がん検診の有用性を検証するため、宮城県対がん協会、仙台市医師会に協力を得て、US画像、検診結果などのデータを抽出するための経費が必要である。
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Research Products
(2 results)