2019 Fiscal Year Research-status Report
Replication competence of epidemic influenza viruses for preventing severe influenza disease
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18K17353
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
徳永 朱乃 鳥取大学, 医学部, 助教 (90632901)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | インフルエンザウイルス / 増殖能 / 鼻汁中のウイルス量 / 細胞障害能 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は育児休業のため、科研費を中断した。以下、現在までの研究実績の概要を示す。 インフルエンザの重症化予防は、ハイリスク群(乳幼児、高齢者、妊婦、基礎疾患を有する者)にとって重要な課題である。しかし、重症化する場合とそうでない場合がある理由は明確ではなく、重症化予測因子は未だ不明のままである。本研究では、2009年から2015年までに流行した季節性インフルエンザウイルス株の増殖能に焦点をあて、高増殖能株とインフルエンザ重症化との関連の検証を目的としている。 現在までに、Madin-Darby Canine Kidney細胞のみならず、ヒト肺胞上皮細胞を用いて、増殖能と細胞傷害の程度を評価した。インフルエンザ重症化例の少なくとも一部に細胞傷害、特に肺胞上皮の傷害が大きく関与していることが、死亡解剖体の病理所見に確認された報告より、本解析が重要であると考えた。その結果、A(H1N1)亜型、A(H3N2)亜型、B型の全ての型・亜型についてヒト肺胞上皮細胞においても高増殖能株ほど細胞死の割合が高かった。また、患者鼻汁中のウイルス量を測定し、増殖能との関連を検証した。鼻汁中のウイルス量は、臨床症状に相関することが報告されている。その結果、全ての型・亜型において高増殖能株ほど鼻汁中のウイルス量が高かった。これらの結果より、「増殖能」が重症化の因子として有用である可能性が見出された。「増殖能」と「重症化」の関連をさらに理解するため、臨床マーカー(発熱期間など)についての患者葉書調査を行い、62サンプルについて回答を得られた。さらに、入院患者(重症化を想定)の鼻汁検体を採取し、増殖能解析を行っている段階である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高増殖能株ほど鼻汁中のウイルス量や細胞死の程度が高くなることを明らかにできた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、「増殖能」と「重症化」の関連をさらに検討する。 まず、高増殖能株ほど発熱期間が長いかを調査する。続いて、入院患者の増殖能解析を行う。さらに、生体内での増殖能を検討するため、マウスでの実験系を確立させる。最終的に、増殖能を重症化予測の診断学に発展させるために、高増殖能を規定する責任遺伝子の同定に挑戦する。
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