2019 Fiscal Year Research-status Report
系統的化学合成を主軸とした合成カンナビノイド系薬物の薬理活性評価および代謝研究
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18K17364
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Research Institution | Osaka Institute of Public Health |
Principal Investigator |
淺田 安紀子 地方独立行政法人 大阪健康安全基盤研究所, 衛生化学部, 研究員 (80622753)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 危険ドラッグ |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、規制薬物の構造を基に設計された『危険ドラッグ』の流通が世界的な問題となっている。しかし危険ドラッグについての学術論文は薬物同定や検出事例報告が多く、薬理活性やヒトでの代謝情報は散発的に見受けられるのみである。本研究では危険ドラッグ成分のうち事件・事故事例が多い合成カンナビノイド系薬物を対象とし、構造ごとに系統立てて合成した薬物を用いて、薬理活性の評価及びヒト代謝物の同定を実施することを目的としている。 本年度は引き続き分析対象となる合成カンナビノイド薬物の合成を行った。その結果、新たに計12種類の合成カンナビノイド系薬物の合成を達成した。得られた合成カンナビノイド系薬物について、ヒトカンナビノイド受容体機能評価試験を実施し、そのうち11種類が受容体アゴニストとしての活性を有することを確認した。また、活性の認められた化合物の一部について、前年度より検討していた原理の異なる別の評価系を用いたヒトカンナビノイド受容体機能評価試験を実施した。両試験法の結果を比較したところ、活性化能の数値について陽性対象物質も含めて差がみられたものの、活性の強弱については類似した傾向が認められた。 また受容体活性化能を有するものの、加熱中に分解が進行することが確認された化合物(平成30年度に合成)について、加熱によって生成した複数の分解物の構造推定を行った。さらに、主な分解物と考えられる化合物2種類について活性化能評価を行った。その結果、これら2種類の化合物には活性化能が認められなかったため、化合物自体の活性化能と実際の薬物摂取時の作用について隔たりがあることが考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
評価対象の化合物の合成は特に問題なく進んでおり、累計の化合物数は順調に増加している。化合物のヒトカンナビノイド受容体活性化能については、従来法に加えて、新たに検討した受容体機能評価試験の結果も蓄積されつつある。ただし、実施した評価試験の数は構造による活性の差を評価するのに十分な数ではないと考えられるため、進捗状況をやや遅れているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、評価対象となる合成カンナビノイド系薬物を合成するとともに、そのヒトカンナビノイド受容体活性能について明らかにする。 さらに、これまで合成した化合物のうち、構造の特徴の異なる化合物群よりモデル化合物を選定し、In vitroでの代謝実験で得られるヒト代謝物の構造を明らかにする。
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Causes of Carryover |
初年度分の生体影響評価用試薬の消費が少なかったため残額が生じた。次年度は評価対象となる化合物数が増える見込みであるため、残額は試薬の購入に充当する。
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