2018 Fiscal Year Research-status Report
ダニ媒介性感染症の迅速診断法の開発―ベッドサイド診断への応用
Project/Area Number |
18K17366
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
尾之内 佐和 岐阜大学, 応用生物科学部, 助教 (10808330)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ダニ媒介性感染症 / 重症熱性血小板減少症候群 / ツツガムシ病 / 日本紅斑熱 / 診断 / 組換えタンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
重症熱性血小板減少症候群(SFTS)やツツガムシ病、日本紅斑熱などの「ダニ媒介性感染症」は、過去5年間で患者発生が倍増し、近年注目を浴びる疾病である(IDWRより)。SFTSはウイルス、ツツガムシ病及び日本紅斑熱はリケッチアによる感染症で、どちらも患者の病原体遺伝子の検出あるいは血中抗体の検出により診断される。しかし、前者は操作が煩雑であること、後者は抗原となる病原体を保有するためのP3施設を要することから、実施施設は限られている。一方、SFTSやリケッチア感染症は重症化した場合の致命率が5~30%と高く、より迅速で簡便な検査方法の開発を必要としている。 本研究では、SFTSウイルス及びリケッチアの組換え膜タンパク質及びそれらを抗原にしたモノクローナル抗体を作製し、それらを用いて簡便かつ迅速に病原体抗原及び血中抗体を検出する酵素免疫測定法(ELISA法)やイムノクロマト法を確立することを目指す。 平成30年度は診断法を開発するうえで必要な抗原となる各種組換えタンパク質を作製する準備を行った。SFTSウイルスについては、大腸菌系を用いて組換え糖タンパク質GnとGcを作製し、ツツガムシ病リケッチア、日本紅斑熱リケッチアについては大腸菌系を 用いて組換え47 kDaの外膜タンパク質及びrOmpA・rOmpBの外膜タンパク質を作製する計画である。そこで、SFTSウイルス、ツツガムシ病リケッチア、日本紅斑熱リケッチアの核酸抽出を行い、各組換えタンパク質を作製するにあたり、最適な組換えタンパク質発現系を検討し、ベクタープラスミドを決定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度はSFTSウイルス、ツツガムシ病リケッチア、日本紅斑熱リケッチアの核酸抽出を行うことができたが、組換えタンパク質発現系の立ち上げに時間を要したため、当初計画の半分程度の進捗状況となった。しかしながら、組換えタンパク質発現系に目処がつき、今後は比較的スムーズに進行すると考える。従って、現状では少し遅れているが、最終年度までには予定した研究内容を終えることが出来ると予想する。
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Strategy for Future Research Activity |
SFTSウイルスのGnとGcタンパク質、ツツガムシ病リケッチア、日本紅斑熱リケッチアの47 kDa外膜タンパク質及びrOmpA・rOmpBタンパク質の組換えタンパク質を作製する。得られた組換えタンパク質を精製し、血中抗体検出系に使用するほか、組換えタンパク質を抗原として、モノクローナル抗体を作製する。得られたモノクローナル抗体は抗原検出系の開発に利用する。
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Causes of Carryover |
組換えタンパク質発現系の立ち上げに時間を要し、研究計画の遅れを取り戻すことができず、費用のかかる組換えタンパク質作製と精製を次年度に延期することにしたため、次年度使用額が生じることになった。次年度は延期していた実験を速やかに遂行し、遅れを取り戻すと共に、続く抗体作製も計画通り次年度に実施するために、繰越し分と合わせた予算を使用する予定である。
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