2018 Fiscal Year Research-status Report
妊娠初期の母親の炭水化物摂取状況が出生後の児の発育に及ぼす影響の検討
Project/Area Number |
18K17375
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
秋山 有佳 山梨大学, 大学院総合研究部, 助教 (30790175)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 妊娠初期 / 母親 / 炭水化物摂取状況 / 低出生体重 / 発育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、山梨大学大学院社会医学講座と山梨県甲州市とが1988年より開始し、現在も継続中である共同研究、母子保健長期縦断調査(甲州プロジェクト)を用い、妊娠初期の母親の炭水化物の摂取状況が、出生後の児の発育に及ぼす影響を明らかにすることである。 研究実施1年目である本年度は、2016年度までの既存データを用いてデータセットを作成した。食事内容に関する調査項目が導入された1990年度から2016年度までの総数は6,171人であった。 まず、各年度別の妊娠初期の母親の食事内容(19の食品群または食品)について単純集計を行い経年変化を確認した。その結果、米飯の摂取頻度は減少し、パンの摂取頻度はわずかに上昇していた。また、果物、海藻類、魚介類の摂取頻度は減少し、肉類は上昇していた。 次に、妊娠初期の母親の炭水化物摂取状況と児の低出生体重(2,500g未満)との関連について検討した。本分析では、使用変数の情報がすべてそろっている児は3,009人であり、低出生体重児の割合は7.6%であった。分析の結果、妊娠初期の母親の炭水化物摂取状況と児の低出生体重には有意な関連は認められなかった。 今後は児の出生後の発達・発育との関連を検討していく必要があると考える。また、現在使用されている調査票では、19の食品群または食品のみ、かつ摂取頻度を3件法で尋ねているため情報量が少ない可能性が考えられ、より詳細な食事調査での検討が必要であると考えた。本年度は甲州市と調査項目についての協議を行い、現在も継続して検討中である。 本年度の研究結果である、同地域における26年間の母親の食事内容の変化を明らかにしたことは日本において数少なく重要な結果となったと考える。また、炭水化物摂取状況と低出生体重との検討も、妊婦の食生活は胎児の発育や出生後の児の成長にも影響することから、意義のある研究であったと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1年目に計画していた、データセットの作成、データ解析、より詳細な食事に関する調査の実施に向けて甲州市との協議の実施について、いずれも計画通り進めることができた。また、解析結果については2年目に計画していた学会発表もすることができ、順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目は、より詳細な食事に関する調査の実施に向けて甲州市との協議が継続中であることから、調査実施に向けて話し合いを詰めていく。また、データ分析については、母親の炭水化物摂取状況と児の身長や他の発育状況との関連についても検討していく。そしてその結果を学会で発表する。 最終年度の3年目は、より詳細な食事に関する調査を実施し、その調査結果による分析と検討を行う。また、2年目までの学会発表の結果を論文にし、投稿する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、本年度では、予定していた海外での学会に参加できず、データセット作成等の人件費が不要になったためである。来年度は、詳細な食事調査等の実施に向けて人件費や消耗品の購入が増える予定である。
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