2018 Fiscal Year Research-status Report
標準化された項目を用いた統合型IgA腎症データベースの構築にむけた研究
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18K17380
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松崎 慶一 京都大学, 環境安全保健機構, 助教 (20709315)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | IgA腎症 / レジストリー |
Outline of Annual Research Achievements |
IgA腎症は本邦における慢性糸球体腎炎のなかで最も多く、約20年の経過で30~40%が末期腎不全に陥る難治性の疾患である。現在まで、IgA腎症の治療法や予後に関する研究は、主として診断時や治療開始時における情報が用いられたコホート研究が用いられているが、慢性の経過を辿る疾患であるため、経過中の要因変化や急激な腎機能の低下が生じることも多く、日常診療における様々なクリニカルクエスチョンに対応するエビデンスが確立されているとは言い難い。このため、正確な診療データ・予後データを収集したデータベースが求められている。厚生労働省難治性腎疾患IgA腎症WGはこれまでのべ約3,000例を対象としたデータ収集を行っているが、各コホート研究の観察項目は標準化されておらず、統合されたデータベースは存在しない。本研究では多施設共同研究のデータ(のべ3,000例)を基盤とし、観察項目、収集方法などをシステマティックレビューで標準化した「統合型データベース」を構築する研究である。 平成30年度は、主として統合型データベースのシステムについての検討を行った。ハンドリング可能なデータベースについて ①EDCシステムへの展開 ②収集された項目についてCDISC標準に基づいたSDTMマッピングを行った。また、EDCシステムに合わせてデータベースユーティリティソフト(REDCap2SDTM)の改修を行い、データベースの結合および記述統計量が正確に算出されたことを確認した。次年度以降はシステマティックレビューなどによる項目の選定を行い、本邦におけるIgA腎症レジストリーのスタンダードを目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は「データベースの統合にむけた課題整理、EDCシステムの開発」を主たる目的とし、ハンドリング可能なデータベースのEDCへの展開、SDTMの実装、データベース統合における実証実験を行った。上記のプロセスを経てデータベースの結合は迅速に行われ、算出された記述統計量は従来の方法で行った結果と同一であった。一方、データベースの品質保持のため、徹底的なデータクリーニングを行う必要があり、データの取得時から解析を意識したCase Report Form(症例報告書)を作成することが重要であると考えられた。これらの知見から、データベース結合に関する技術的な問題が解決され、技術面からはデータベース統合が可能であることが示された。このため、本年度は概ね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の成果として、メタ情報を含むデータをEDCシステム上で構築しハンドリングすることでデータベースの統合が容易となることが確認された。SDTMの実装については一定のルールに加え、同一疾患領域の結果を参考にすることなどが必要と考えられた。今後はシステマティックレビューからの知見やエキスパートオピニオンの取得などの手法を用い、データベースにおける項目決定を行う。これらを通じて、本邦におけるIgA腎症レジストリ構築におけるスタンダードを目指す。
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Research Products
(3 results)