2019 Fiscal Year Research-status Report
Accuracy evaluation of predicted disease state transition by Markov model and its application to cost-effectiveness analysis
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18K17381
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
秋田 智之 広島大学, 医系科学研究科(医), 助教 (80609925)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | マルコフモデル / 推定精度 / 信頼区間 / 分散安定化 / シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、検診や治療導入等疾病政策の策定において、医療経済的な評価が行われている。費用効果分析では、実際の臨床データから算出した病態推移確率に基づいてマルコフモデルに基づく将来の病態別患者数(状態分布)の推定が行われているが、症例数が少ない場合、推移確率や費用効果分析の結果の精度も劣るが、精度の評価はされていない。 本研究ではマルコフモデルの確率推移行列の精度およびマルコフモデルにより推定した状態分布の精度評価のために、予測状態分布の95%信頼区間の構築法を検討することである。 本年度は、マルコフモデルによる予測値の信頼区間の公式の推定精度の評価と改良を行うことが目的であった。 マルコフモデルによる予測値の信頼区間の公式は最尤推定量の漸近的特性に基づき導出し、さらに複雑な微分を行う必要のないforループに基づくアルゴリズムも導出した。 2状態のマルコフモデルにおいて、10期先の予測値の95%信頼区間の被覆確率のシミュレーションを行ったところ、行和が30程度以上で被覆確率がほぼ95%に近い値となった。また、推定期間を25期先まで伸ばした推定値の95%信頼区間においても、行和が50程度以上で被覆確率がほぼ95%に近い値となった。一方、行和がそれ以下の場合の精度の補正として、分散安定化法(二項変量に対する逆正弦変換)による推定方法の補正を試みた。先ほど同じ条件の下でシミュレーションを行うと、行和が15程度であっても被覆確率がほぼ95%に近い値となった。 以上の結果から、本研究の信頼区間構築方法とその改良法は推定精度を信頼区間で表現でき、医用分野における数理モデルの評価において有用な手法と考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、本研究ではマルコフモデルの確率推移行列の精度およびマルコフモデルにより推定した状態分布の精度評価のために、予測状態分布の95%信頼区間の構築法についての精度評価と改良が目的であったが、おおむね予定研究を実施できた。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、状態数が3以上の場合の信頼区間構築方法の構築と評価、および費用効果分析における評価への本手法の適用について考察する。
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