2019 Fiscal Year Research-status Report
Exploratory study of motivational methods leading to habituation of exercise aimed at prevention of mental disorders.
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18K17383
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
相良 郁子 (植木郁子) 長崎大学, 保健・医療推進センター, 助教 (30534432)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 身体活動 / 社会貢献 / 寄付 / 歩数推進 / personality特性 / ウェアラブル端末 / サイトカインマルチプルアッセイ / マイオカイン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、身体活動を増やしたいのに多忙を理由に増やすことができない労働者を中心に、継続的に身体活動を増やすための方法をpersonality特性毎に探り、身体活動・歩数を増やすことでメンタルヘルス不調(特に仕事関連のストレス)を予防・社会的損失を削減することを最終目的としている。2019年度は日常歩数増加の意欲を持ち、厚生労働省が示す歩数目標値(男性9000歩・女性8500歩)未満の当大学職員を対象に、社会貢献(寄付)は身体活動開始および定着の動機付けとなり得るかを検証した。 ■歩数推進プログラム「歩いて健康貯金2019」実施内容■ 開始前に参加希望者の2か月間の平均歩数を測定し、男性9000歩,女性8500歩/日未満の58名を研究対象とした。その後、性別と年齢を割付け因子とし、無作為に社会貢献群(歩数増加分寄付群)とコントロール群(対象群)に割付けし3ヶ月間以下の介入を行った。 両群の共通の介入として、i.目標歩数の設定、ii.歩数のセルフモニタリング、iii.保健センター(実施者)から対象者へ月に2回の平均歩数通知と歩数増加を推進するためのメール送信を行った。加えて社会貢献群はベースライン2ヶ月間の平均歩数と比較し増加した平均歩数分を1歩1円で助成金より日本ユニセフ協会へ1月毎に寄付を行う旨をメールで通知し、社会貢献を歩数増加の動機付けの一つとした。(寄付の上限は1000円とし、 厚生労働省が示す日本人の歩数目標値(男性9000歩以上、女性8500歩以上)に達成した参加者の歩数は増加歩数に関係なく1000円相当の寄付とした。)研究のメインアウトカムは参加者各々が設定した目標歩数/月を達成した日数とした。毎月の目標歩数について全く記載のなかった参加者は解析から除外し、3ヶ月の内いずれかに目標歩数の欠測がある参加者は、3ヶ月分の目標歩数の平均値を代入し補完して解析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年9月から11月に予定通り3ヶ月間の身体活動・歩数増加推進の介入を行った。2020年8月まで3ヶ月間のプログラム効果を追跡予定である。概ね順調に進んでいる。 ■プログラム実施の成果■ 介入開始前の時点で社会貢献群に28名、コントロール群に30名割り付けられた。社会貢献群の3名については、コントロール群の3名が退職・妊娠・体調不良等の理由で解析対象から除外した。また、3ヶ月とも目標歩数が欠測している3例も解析から除外した。2019年度9月から11月に上記介入プログラムを3ヶ月実施し、社会貢献(寄付)群の目標歩数を達成した平均日数は47.6日(SD: 15.4)、コントロール群は36.7日(SD: 13.1)であり、有意に社会貢献群は目標歩数を達成した日数が多かった(P = 0.012)。また、3ヶ月の介入期間の内、月ごとの目標歩数を達成した平均日数は、社会貢献群(15.2日,17.3日, 15.1日)、コントロール群(12.3日,13.1日, 11.3日)(P : 0.068, 0.018, 0.030)(1ヶ月目, 2ヶ月目, 3ヶ月目)と各月で社会貢献群の目標歩数達成日数がコントロール群と比較し多かった。以上より、労働者における身体活動導入および目標歩数達成には社会貢献をインセンティブとすることが有効であることが示唆された。これらの3ヶ月の介入結果に関しては明治安田厚生事業団へ報告書を提出した。
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Strategy for Future Research Activity |
【今後の研究の推進方策】 今後は、社会貢献をインセンティブとした場合の半年後、1年後の運動継続効果(目標歩数達成率)を検証予定である。更にpersonality特性毎の運動継続効果も評価を行う予定である。また、本研究の最終目標である身体活動・歩数を増やすことでメンタルヘルス不調(特に仕事関連のストレス)を予防・社会的損失を削減することに向けて、既に実施しているプログラムによる仕事関連ストレスチェックの効果等を検証、歩数増加群と非増加群における職業性ストレス、自己効力感、主観的幸福度、身体的影響を分析することで、労働者における歩数増加の効果を明確にする。 2020年度は当初、参加者200人規模で歩数推進プログラム「歩いて健康貯金2020」を行う予定であったが、新型コロナウィルスの感染拡大阻止のため、プログラム実施は中止とし、2019年度参加者の歩数のみ追跡予定とした。また、2019年度参加の残血清より各種ホルモンやサイトカイン・マイオカイン・アディポカイン等を測定し、歩数推進の効果等を歩数増加群と非増加群で比較検討予定である。また、歩数増加群のpersonality特性とサイトカインの関係も探索予定である。
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Causes of Carryover |
当初学会発表等のための旅費や次年度の200人規模のプログラム準備のための人件費を計上していたが、新型コロナの影響で、上記を中止した為、使用額が変更となった。今後は2019年度の取り組みで歩数が増加した参加者および変化していない参加者より採取した残血清を用い運動効果をより詳細に分析する予定とした。分析はサイトカインマルチプルアッセイキットを用い、血清中のアディポカイン・マイオカイン・メタボリックホルモン・老化に関連するホルモン、サイトカインを測定予定であり、次年度使用分はそのための物品費に充てることとしたい。
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