2020 Fiscal Year Research-status Report
AGEsから見た脊柱靭帯骨化疾患の発症機序の解明;住民コホート10年追跡調査より
Project/Area Number |
18K17391
|
Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
長田 圭司 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (00527195)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 最終糖化産物 / 骨増殖性疾患 / 後縦靭帯骨化症 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終糖化産物(Advanced Glycation End Products: 以下AGEs)は今、世界中で最も注目されている“老化物質”であり、AGEsは非酵素的に蛋白と還元糖が結び付 く糖化反応により産生され、その一部は靭帯骨化につながることが示唆されている。我々はAGEsの蓄積状態が後縦靭帯骨化症のみならず他の骨化疾患であるDISHや変形性腰椎症と相関があることを明らかにした。近年OPLL、前縦靭帯骨化(Ossification of anterior longitudinal ligament:以下OALL)、黄色靭帯骨化(Ossification of yellow ligament:以下OYL)やDISHは同一個体に複数存在することが多いことが知られてきており、我々の研究の成果からも脊柱靭帯骨化疾患の症候群として捉えるべきであると考える。 研究成果の発表はすでに4回行っており、2018年10月5日 中部整形災害外科にて骨化疾患の重症度と終末糖化産物(AGEs)の血中濃度は相関する;大規模住民コホートの結果よりを発表し、学会奨励賞を頂いた。また2018年11月24日には厚生労働省OPLL班会議に出席し、同様の内容で発表を行った。 2019年4月19日日本脊椎脊髄病学会において、終末糖化産物(AGEs)の血中濃度は骨増殖性病態の重症度と相関する;大規模住民コホートの調査結果よりを一般口演にて発表を行った。2020年には日本脊椎脊髄病学会にてProgression of OPLL and its association with AGEs.をWeb発表(口演)を行った。また同様の内容にて論文作成中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
我々の以前の1690人の疫学調査ではOPLLと血漿ペントシジン(高血糖持続状態のときに産生される最終糖化産物(Advanced Glycation End Products: 以下AGEs))、さらに変形性膝関節症や全身性骨化疾患の一つであるDiffuse Idiopathic Skeletal Hyperostosis (以下DISH)との関連を明らかにした。さらに我々はAGEsの蓄積状態が後縦靭帯骨化症のみならず他の骨化疾患であるDISHや変形性腰椎症と相関があることを明らかにした。近年OPLL、前縦靭帯骨化(Ossification of anterior longitudinal ligament:以下OALL)、黄色靭帯骨化(Ossification of yellow ligament:以下OYL)やDISHは同一個体に複数存在することが多いことが知られてきており、我々のAGEsと靭帯骨化疾患群との関連を調査し、それらが密接に関わっていることを明らかにした。それらの成果を現在、順次発表し、論文作成中である。
|
Strategy for Future Research Activity |
我々は今まで行ってきた疫学の大規模コホートがあり、2011年から3~4年毎に縦断的に調査を行っている。本研究では本邦初の脊柱靭帯骨化疾患の縦断調査のみならず、共同研究者である岡らが開発した単純X線の自動定量解析システム(Oka H, et al. Osteoarthritis Cartilage 2008, 村木重之他 Osteoporosis Japan 2008)により定量的に脊柱靭帯骨化疾患の縦断調査を行い、OPLLや靭帯骨化疾患の質的量的な自然経過を知ることが可能である。さらに我々の研究チームである出口らは椎間板変性の遺伝子解析を行い、椎間板に関与する遺伝子の特定にも成功しており、今回は脊柱靭帯骨化疾患有所見者を対象に遺伝子解析も可能である。疫学研究の健常者のデータベースも確立しており、それらのデータも統合することで、健常者との比較検討も可能である。こられの利点を活かして、靭帯骨化疾患の病態を明らかにしていく予定である。
|
Causes of Carryover |
コロナの影響により学会等の発表や旅費の計上がなくなり、次年度の使用としている。
|
Research Products
(1 results)