2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K17392
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
長尾 匡則 福島県立医科大学, 公私立大学の部局等, 助教 (30621239)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 東洋医学 / 食養 / 食品分類 / 栄養 / 中医学 / 食事調査法 / 妥当性研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度においては、初年度に調査した食材がもつ中医学的な性質である性味(五性、五味、帰経)の情報を基にして、既存の西洋医学的見地からの食事評価の為の食物摂取頻度調査票(FFQ)でどの程度フォローできるかについて検討を行った。その理由として、東洋医学的な食事評価を行うにおいても、西洋の栄養学の観点からの影響を交絡要因として考慮しなければならないため栄養素の評価は必須であり、既存のFFQは既に栄養素評価のための妥当性が検証済みであるためである。 本検討では既存の食事調査票として次世代多目的コホート研究(JPHC-NEXT)で使用されている調査票*1を使用した。これを選択した理由は、JPHC-NEXTが我が国の複数の地方を研究対象としているため特定の地域に限局したものに比べて一般化しやすいこと、また対象としている中高年は食事の評価・介入が重要な世代であるためである。 JPHC-NEXTのFFQ収載食品172品目中、性味を明らかにできたものは120品目(69.8%)であり、2018年度に構築したデータベース275品目の43.6%に相当した。食品の性味は主に中国で発達した概念であるため、中国で利用されない食材については情報が少ないものの日本と中国では食文化に相似点も多いため、既存の性味に関する情報だけでも西洋の栄養学の観点で作成されたFFQの7割弱がカバーできることが明らかとなった(第78回日本公衆衛生学会学術総会にて発表)。 また、東洋医学的食事評価の活用の一案として、酸化ストレス・抗酸化活性を介した健康増進効果をアウトカムとする研究が考えられる。その基盤となる研究として、酸化ストレスと循環器疾患発症との関連について英文誌に発表した。 *1:https://epi.ncc.go.jp/jphcnext/clpg_files/baseline.pdf (2020年6月15日確認)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当該年度は秤量法による食事調査の実施を予定していたが、既存のコホート研究において同様の食事調査を実施していることが明らかとなったため、その情報の二次利用について現在調整を行っている。既存の食事調査データを利用することができれば、食事調査の必要例数の推計や質問紙の試作のために非常に有用な知見を得ることができるため、食事調査の実施を保留にし、既存データの解析を先行させることとした。ただし新型コロナウイルス感染症の拡大とその対策のため調整は停滞している。
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Strategy for Future Research Activity |
既存の食事調査データの二次利用についての調整を進める。そのうえで既存の食事調査データを解析し、性味の明らかな食材の摂取頻度ついて解析する。既存データによる予備的な検討ができれば、性味が強くても頻度が少ない食品は食事全体における東洋医学的性質の寄与が小さいものとして、または秤量法食事調査の期間に摂取されないほどの低頻度の食材は評価不能としてFFQから除外できるため、調査票の妥当性を高めるうえで非常に有用なプロセスである。この予備的な検討を踏まえてFFQを試作し、妥当性・再現性の検討を行う。
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Causes of Carryover |
研究計画立案当初は当該年度に食事調査を実施する計画であったが、同様の食事調査データの存在が明らかとなったため、まずは既存データを用いた解析を優先することとした。この計画変更により実施予定であった食事調査に係る費用を次年度以降に使用時期を変更する必要が生じた。
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